Special Issue

<ソフトバンクBB特集>ビジネス拡大に向けての取り組み

2009/03/30 19:56

週刊BCN 2009年03月30日vol.1278掲載

通信データ回線や関連サービスまでも同じ商流でディストリビューション

通信キャリアの優れた商材を活かす

 ソフトバンクグループは、物販だけではなく、サービス・ソリューションなども提供している。さらに、ICTプラットフォームとして、「ULTINA(アルティナ)」を用意。これを扱えば、販売パートナーはICTプラットフォームサービスも調達できることになる。  「“ULTINA”とは、VPN、インターネットなどのネットワークとその上位レイヤーの機能・サービスを統合させたICTプラットフォームサービスのブランド名で、お客様の経営課題を解決に導いています」と、コマース&サービス統括・CP事業推進本部・MD第2統括部・ソリューションマーケティング部・部長の諸留勇氏は説明する。 実は、ソフトバンクグループで「ULTINA」を事業ドメインとしているのは、通信キャリアであるソフトバンクテレコムである。ソフトバンクグループと協業すれば、このキャリアの技術を自社のビジネスに活かすことができる。ソフトバンクテレコムの前身は、旧JRグループの関連会社で、長年にわたって全国に高品質・高信頼のネットワーク網を敷設している。ソフトバンクテレコムは、このネットワーク網を低コストで提供しているのだ。同社のもつネットワーク網は、法人ネットワークとして信頼を得ており、顧客満足度も高い。

データ回線でビジネスに大きな変化を

 ビジネスの幅を広げるデータ通信回線は、すでに多くの企業でインフラとして認知され、活用されている。この部分に障害が生じれば、ビジネスの停止も余儀なくされることは明白だ。公共サービスなどを提供している場合、さらに事態は深刻だ。自社の損害だけでは止まらず、社会問題となるケースもあるだろう。そのため、安定性・信頼性は何よりも重視される。その点ソフトバンクテレコムはキャリアとしての顧客満足度も高く頼もしいといえる存在だ。

 さらにはソフトバンクBBが従来から取り扱っているネットワークセキュリティ製品を組み合わせることによって、大きなビジネス変化が生まれるのではないかと考えている。「ソフトバンクBBは、ディストリビューターとして認知いただいておりますので、SIer様にとっては、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークセキュリティ製品に加えてネットワークインフラもご提案できることで、ネットワークに強いNIer様にとっても、当社と協業することでキャリアのネットワークを活用できることになりますから、ビジネスの幅は広がるでしょう。また、まだネットワーク分野に参入していない販売パートナー様も同様に、新しいビジネスチャンスの可能性が広がるはずです」(諸留氏)。ユーザー企業には、常にセキュリティや事業継続という課題がある。その解を提示するために、セキュリティアプライアンスや各種ソリューションを展開している販売パートナーは多い。今後、事業継続といった課題に応えていくためには、企業内のネットワークのみならず、ICTプラットフォームのノウハウも必要となるだろう。つまり、全国に高信頼のネットワーク網を敷設しているキャリアとの協業が求められるのだ。キャリアの機能を持ったディストリビューターという、希有な存在であるソフトバンクBBとのパートナーシップは、その大きな力となるだろう。



携帯電話やIT商材の付加価値として提案できるモバイルソリューション

導入が容易で業務改善につながるソリューション

 「ソフトバンクグループでは、携帯電話を活用して仕事の効率化を図るモバイルソリューションを展開しています。携帯電話だけでなく、その付加価値として活用できる商材の提案は、お客様側からみると業務改善に直接つながりやすいため、たいへん喜ばれています」と、コマース&サービス統括・CP事業推進本部・MD第3統括部・統括部長の片山弘一氏は語る。

 ソフトバンクBBでは、いくつものモバイルソリューションを取り扱っているが、最近特に注目を集めているのが、「CACHATTO(カチャット)」だ。これは、携帯電話から社内メールやスケジュールなどの安全な利用を可能とし、既存の社内システムやネットワークの設定はそのままに導入できるというソリューションだ。

 「CACHATTO」は、Lotus Notes/DominoやMicrosoft Exchange、サイボウズ Office、desknet'sなどに対応している。つまり、グループウェアを活用しているほとんどの企業が、導入できるソリューションなのだ。

 実は、ソフトバンクBBでは以前から携帯電話で社内メールやスケジュールを確認できる環境を整えていた。多くの社員がその環境を活用しており、モバイルソリューションが生産性の向上につながるということを体験してきた。その経験を活かした提案は、市場からも受け入れられている。

ソフトバンクならではの付加価値を提供

 「“CACHATTO”は、CHTMLでの表示はもちろん可能ですが、ソフトバンクモバイルで利用できるS!アプリを利用すれば、より見やすいインターフェースで表示できます。また、利用キャリアもソフトバンクモバイルに限定することで、価格を抑えたモデルもご提供できます」(片山氏)。

 メールシステムやグループウェアは、SIerや販売代理店など販売パートナーが主に取り扱っている。その場合、クライアント/サーバーという世界で終始し、携帯電話という新たなデバイスをビジネス機会として活用し切れていないのが実情だ。しかし、ソフトバンクBBと協業することで、これまでのITビジネスに加え、モバイルビジネスも始めることができる。そのきっかけとしても利用できるソリューションが「CACHATTO」だ。

 「“CACHATTO”をはじめとするモバイルソリューションは、ITを主軸として展開されている販売パートナー様に対して、Communicationを加えたICTというビジネス展開を始めるきっかけに最適な商材です。またiPhone 3Gに代表されるモバイルインターネット端末の導入は、ITに精通している販売パートナー様の経験がもっとも活かせる分野だと思います」(片山氏)。

 前述のとおり、ソフトバンクBBは、キャリアとしての側面と、ディストリビューターとしての側面を持つ企業だ。モバイルソリューションはまさにこの両面をうまく活用した新たなビジネス展開として、市場の活性化や新規顧客の開拓を促すため注目されるのは、当然のことといえよう。

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