セイコープレシジョンは、ロードバランサー事業の拡大に本腰を入れはじめた。SMB(中堅・中小企業)向けという製品ラインアップに加え、中規模以上のユーザーをターゲットにした製品を追加。同社のネットワーク機器のブランドを「Netwiser(ネットワイザー)」に統一することで知名度の向上を図る。
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システム事業部 ソリューション営業部 ソリューション営業2課長 菊池一弘氏 |
現在、同社がロードバランサとしてラインアップしているのは、小規模システム向け「SX-3220 LB」と中規模システム向け「SX-3640 LBH」の2機種。同社の製品は必要な機能だけを適正な価格で提供することでユーザー企業から評価を得ており、このたび、製品ラインアップの拡充によって新規顧客の開拓に乗り出す。中規模以上のシステムに適した「SX-3750 LB」を今年秋に市場投入するのだ。「従来製品ではご利用いただけなかった規模のシステムでも、今後は当社製品が選択肢に入ると思います」と、システム事業部ソリューション営業部ソリューション営業2課長の菊池一弘氏は語る。
「SX-3750 LB」は、2.5Gbpsのスループットに対応するほか、SSL処理(オプション)も現行機種の170Mbpsから1.5Gbpsと約9倍に性能が向上する。そして何よりも、「これまでの製品で得たノウハウを生かし、ハードウェアからファームウェアまで自社開発しました」と、菊池氏は最大の特徴を説明する。すべてを自社開発し、ユーザー企業が求める機能や耐久性を考慮した高信頼の製品を作り上げた。
この製品を市場投入するにあたって、人材面での信頼性向上も追求している。技術者をセールスエンジニアとして位置づけ、ユーザー企業との接点を増やすことにより、きめ細かいサポートを行っていく考えだ。また、マーケティング面では「Netwiser」というブランドを創出し、「今後はロードバランサー以外のネットワーク機器もブランドを統一して展開していきます」と、菊池氏は説明する。
販売面では、「これまで直販がメインでしたが、販売パートナー制度を確立し、今年秋からは100%間接販売に切り替えます」と、菊池氏は商流改革を明らかにしている。
同社のロードバランサー事業の売上成長率は昨年度(2010年3月期)に前年比30%増。「例年よりも若干落ちました」と、菊池氏は打ち明ける。これは、ロードバランサー事業の事業規模が拡大しているためだ。今年度は、多くの角度から強化策を講じることから「我々はこの市場ではチャレンジャーですが、特定のシステム規模や製品機能に絞っていくことで必ずチャンスがある」と、菊池氏は断言している。さらに「Netwiser」でネットワーク機器市場での地位も築いていく方針だ。