2014年7月、米CA Technologies(CA)がArcserveデータ保護事業を投資会社に分割譲渡すると発表した。「Arcserve(アークサーブ)」といえば、ワールドワイドのバックアップ/リカバリソフト市場で上位シェアを誇る製品だ。その製品をCAが売却したというニュースは驚きをもって報じられたが、10月に始動した日本国内の新体制を率いるArcserve Japanの江黒研太郎社長は、独立したことを前向きに捉えている。江黒社長に、独立の経緯、今後の事業展開についてたずねた。

バックアップ/リカバリ専業の独立会社に

江黒研太郎 社長
 CAは、マイク・グレゴア氏がCEOに就任して以来、エンタープライズ(大企業)向けの製品・ソリューションを中核ビジネスと位置づけ、その分野に投資を集中するという事業戦略を推進してきた。その最後の仕上げと位置づけたのが、Arcserveデータ保護事業の売却だった。

 売却という言葉には、不採算事業の整理という印象がつきまとう。しかし、Arcserveデータ保護事業はむしろ“屋台骨”として収益を確保する事業の一つだった。2013年には、売り上げが前年と比べて2桁成長を遂げ、2014年も同程度の伸びで推移している。CAの製品・ソリューションのなかでも収益率の高い事業部門だったという。

 では、なぜ手放すことになったのか。2014年10月に始動した日本法人、Arcserve Japanの江黒社長は、「エンタープライズのユーザー対象とした直販ビジネスを志向するCAに対して、ArcserveはSMB(中堅・中小企業)を対象に100%パートナー経由でビジネスを展開している。狙う市場とビジネスモデルの違いから、“別れる道”を模索した」と説明する。

 そこで、CAはArcserveデータ保護事業の受け入れ先を探し、結果的に投資会社の米Marlin Equity Partnersに事業を譲渡。その支援を受けて“独立の道”を選んだのだ。

 この独立は、CAとArcserveの両者にメリットをもたらすという。CAにとっては、中核ビジネスと決めた分野と市場に力を集中することができる。一方、Arcserveにとっては、収益を新たな投資とさらなるビジネスの成長に活用できるようになる。「バックアップ/リカバリの専業ベンダーになることで、経営判断のスピードが向上したことも、独立の大きな成果だ」と江黒社長は説明する。

サポートは継続、ロードマップは加速

 パートナーやユーザーにとって気になるのは今後の動向だが、CAのArcserve事業部門は従来から日本国内に営業と技術サポート部隊を置き、パートナーやユーザーから高い評価を得ていた。今回の独立では、Arcserve事業部門が丸ごと新会社へ移籍したため、その体制に変化はなく、心配の必要がないばかりか、新たな施策も期待できる。

 国内外のバックアップ/リカバリソフト市場で上位シェアを維持していることも安心材料だ。江黒社長は、「この実績があったからこそ、中長期の事業計画と製品戦略が明確になって独立することができた」と語る。しかも、最新製品「Arcserve UDP(Unified Data Protection)」は、仮想環境とクラウドに対応する統合バックアップ/リカバリソリューションとなっている。ファイルバックアップとイメージバックアップの両方をサポートするほか、遠隔地へのレプリケーションや仮想環境に待機システムを準備しておく仮想スタンバイなど、幅広いデータ保護機能を備えている。非常にリーズナブルな価格と柔軟なライセンス体系も大きな魅力だ。

 江黒社長によると、過去の製品は新バージョンが発売されると、およそ半年が経過してから徐々にリプレース需要が出てくる傾向があったが、Arcserve UDPは発売からわずか5か月で5000社に導入されたという。すでに大きな効果をもたらした導入事例も出てきている。

 今後は、アップデートで新機能を積極的に追加するなど、これまで以上に製品ロードマップを加速していく意向だ。「外資系企業は日本のパートナー企業やユーザー企業の要望が本社に届かないことも多いが、Arcserveでは従来から日本の声を経営陣にしっかりと伝え、製品やサポートに反映してきた。この文化は、これからも壊すことなく継続していく。独立によって、すべての社員の士気も高い。これからのArcserveに、ぜひ期待していただきたい」と話す江黒社長。

 目指すはイメージバックアップにおけるトップシェアの奪取だ。


霧島酒造のバックアップ業務を支える「Arcserve UDP」

 焼酎業界で名高い老舗酒造メーカー、霧島酒造は、事業継続性の向上とデータ保護施策の強化を目的に、Arcserveの最新製品であるArcserve UDPを導入した。イメージバックアップが可能な「Arcserve D2D」とレプリケーションを実現する「Arcserve Replication」で構築していた従来の環境からArcserve UDPへの移行を断行した。

 Arcserve UDPの導入によって、バックアップから遠隔地レプリケーション、仮想スタンバイまでの運用を一元化。Arcserve UDPの重複排除機能と圧縮機能で、80%以上もの転送データ容量削減を実現し、ストレージリソースの効率的な利用によるコスト削減効果が得られたという。