Special Issue

生産スケジューラ「Asprova APS」導入事例/上海華虹宏力半導体製造有限公司

2016/09/28 19:55

週刊BCN 2016年09月19日vol.1645掲載

 中国に拠点を置く日系企業のIT利活用は、日本に比べて依然として進んでいない。IT専任担当者がいないことやIT投資に割く予算が潤沢でないことなど、要因はさまざまである。だが、中国ならではの業務課題をITの活用によって解決できることも多く、日系ITベンダーにとってはビジネスチャンスともいえる。本特集では、日系企業の抱える業務課題を解決する各社のITソリューションや事例を紹介する。

ユーザー概要
社 名:上海華虹宏力半導体製造有限公司
事 業:半導体の製造・販売
売上高:6億5000万USドル(2015年12月期)
従業員:3500人
製 品:Asprova APS
導 入:2016年

顧客の細かい発注に応える生産管理を実現

 シリコンウェハを製造・販売する上海華虹宏力半導体製造有限公司(上海華虹宏力)は、上海市内に3か所の製造拠点を構える。8インチ(200ミリ)のシリコンウェハの月産能力15万1000枚を誇るファウンドリ(半導体の受託製造)専業企業だ。厳密な生産量と納期管理にアスプローバの生産スケジューラ「Asprova APS」を導入し、納期のシミュレーションに要する時間の大幅な短縮を実現した。

赵屹东 委外管理科 高级技术经理(左)
桑浚之 测试与委外服务 总监(右)

 8インチのシリコンウェハの製造に特化する上海華虹宏力は、中国国内のみならず世界各国の集積化デバイス製造会社やファブレスの半導体メーカーに販売している。上海市内に構える3か所の工場の月間生産量は実に15万1000枚を誇る。

 半導体の製造工程は、ICチップなどを製造する前工程と通電などテスティングする後工程に大きく分けられる。昨今は、顧客が求める半導体の品種が1000種以上に増え、かつ納期に関する要求が一段と強まっているため、とくに後工程で厳密な生産量と納期の管理が必要になっているという。

 「時には1枚から出荷するケースもあり、そうした納期対応を実現する適切な生産総量からロット管理、さらに出荷する枚数まで非常に複雑かつ正確な管理が要求される」とテスト工程の責任者である桑浚之・测试与委外服务総監は説明する。

 上海華虹宏力は2015年にアスプローバのAsprova APSを導入。Asprova APSは受注から製造、購買までを一気にスケジューリングし、顧客からの発注内容に応じた最適な生産計画を長期・中期・短期のすべてを一つのモジュールで実現する生産スケジューラだ。製造業における生産リードタイムを大幅に短縮し、生産効率を向上する。

 「テスティングなどの後工程において、顧客からの発注内容に合わせた出荷数量や納期を正確にシミュレーションするうえで、従来は経験にもとづいて試算したが、現在はAsprova APSによって大幅に時間を短縮することができるようになった」(桑総監)。実際、以前は半日を要する作業だったが、現在は20分程度でシミュレーションすることができ、顧客に対する納期の回答も正確性が増したという。

 今後、上海華虹宏力では製造の前工程とテスティングなどの後工程の生産管理をシステムで連携し、さらに効率的な生産体制を整える構えだ。
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