シュナイダーエレクトリックは11月16日、UPS(無停電電源装置)などの新製品を多数発表した。今回の新製品は多くのユーザーの声を反映させ、大幅に改良しているという。なかでも注目されるのが、UPS新製品「APC Smart-UPS SRT5KXLJ」だ。既存製品に比べて電力容量を大幅に増大させたほか、管理機能や使い勝手も向上させ、サーバーだけでなくFA機器への対応も強化している。

電力容量を大幅に拡大 コストパフォーマンスも向上

 APC Smart-UPS SRTシリーズは、販売台数2500万台超の実績をもつ中規模サーバールーム向け常時インバータ方式UPS「APC Smart-UPS SURT」シリーズの後継となる新ラインアップだ。ミッドレンジやミッションクリティカルなサーバー、ネットワークを構築している企業のほか、医療研究機関や軽工業生産現場までを対象としている。

 今回その筆頭として登場したのが、APC Smart-UPS SRT5KXLJだ。電力容量はSURTシリーズの3500Wに対し、4600Wと大幅にアップ、1台で対応できるシステム規模が拡大された。

大幅な電力容量向上を実現した「APC Smart-UPS SRT5KXLJ」

神谷 誠
戦略・事業開発本部
ビジネスデベロップメントマネージャー
 「当社の既存シリーズや他社製品では、5000VA級UPSの電力容量は3500~4000W程度が一般的だ。しかし、さまざまなユーザーにヒアリングしてみると、この容量では足りずに2台のUPSを利用しているケースが多い」と話すのは、神谷誠・戦略・事業開発本部ビジネスデベロップメントマネージャーだ。現在、クラウド活用が進んでいるとはいえ、重要なデータはオンプレミス環境に置き続けるユーザー企業が多い。その際、サーバーが仮想化やコンバージドインフラの導入で電力容量が大きくなる傾向があり、UPSを集約したいというニーズが高まっている。

 「本製品では回路の効率を大きく改善することで高電力容量を実現させ、これまで2台のUPSが必要だったシステムでも1台で対応できる可能性が高まった。SIerにとっても、提案しやすくなったといえるだろう」と神谷マネージャーは説明する。
 UPSを1台に集約できれば、コストはもちろん管理の負担も軽減される。台数削減に伴い、バッテリバックアップ時間が短縮することが懸念される場合は、オプションの拡張バッテリパックを接続することで時間を延長することが可能だ。SRT5KXLJは新たに拡張バッテリのプラグアンドプレイに対応し、設置・増設時のわずらわしい設定からも解放される。なお、SRT5KXLJでは容量増大もあってワット数あたりの価格も競合に対し2割ほど安く、本機種+拡張バッテリの構成では競合製品2台より33%ほど導入費を抑えられるという。

FAニーズに対応する新機能も搭載

 一方、新たなニーズとして立ち上がってきたIoTを含め、FA環境への対応も強化されている。実はこれまでの製品でもFAコンピュータなどの電源バックアップに用いられてきた経緯があり、そうしたユーザーの要件をヒアリングして、FA向けの機能を追加しているのだという。例えば、商用電源からの電力供給を可能にするバイパス機能を改善し、バッテリ寿命切れや残容量ゼロの状態でも工場を継続稼働できるようにした。また出力コンセントをグループ単位でオン/オフできる設定を追加、接続されている機器を順次起動/停止させたり、停電時に重要機器のみ供給したりといった使い分けが可能となっている。

 また、これまで拡張カードで対応させていたネットワーク管理機能をオンボードで搭載、拡張スロットを別用途に利用できるようにしている。そこに外部シグナルを受けるための拡張カードを装着すれば、外部の機器に合わせた電源管理を実現できる。これもFA環境向けの強化点といえよう。細かなところでは、UPS状態表示をLEDランプからマルチカラー液晶に変更、日本語を含む8か国語に対応したわかりやすい表記で確認できるようになった。

中小規模UPSでラインアップ刷新 非PC/サーバー向けの用途も提案

 シュナイダーエレクトリックでは今回、400~1200VAクラスの中小規模UPSの多くもラインアップを刷新している。これらの製品では、バッテリ寿命などUPSとしての性能を強化しただけでなく、日本のオフィス事情に合わせて設置面積を大幅に縮小させ、一部機種ではUSB電源供給機能も搭載した。バッテリ駆動のモバイル機器に電源保護は不要だが、電源を得られる機会を増やすことでモバイルユーザーの役に立てようという考えだ。

 それだけではない。今回の新製品発表を機に、PCやサーバー以外の用途にも積極的に対応していく姿勢を打ち出している。ネットワークスイッチの保護も、その一つ。

 「例えば、PoEハブの電源を保護することで、そこに接続された無線LANアクセスポイントやセキュリティカメラなども停電時に稼働させることができる。また、ネットワーク機器はクラウドとオンプレミスの境界でもあり、業務停止を最小限にしたいといったニーズもある。そういったインフラ全体を停電から守るのはやはりUPSの役割だ」と神谷マネージャーは話す。