Special Issue

<サーバーメーカー座談会2016>サーバーはIoT時代のプラットフォーム クラウドとのハイブリッド環境に需要あり

2016/12/22 19:56

週刊BCN 2016年12月19日vol.1658掲載

コモディティ化といえども耐久性やサポートで差異化

──「機能差がない」といわれるなか、「ここは他社に負けない」という機能はありますか。

 ハードは、コモディティ化が進んでいるため、基本的な機能の部分に、もはや差はほとんどないでしょう。むしろ運用のしやすさとか、壊れにくさといった品質面やユーザビリティが差異化になると思います。

魚田 オープン環境での相互接続性の徹底的な事前検証と業界標準の先進SSDの早期投入にこだわっています。IoT時代に向け、膨大なデータを蓄積するストレージとコンピュートをいかに近づけ、システムの高速化につなげるかを念頭にシステム設計に取り組んでいます。

渡辺 品質とサポートには、強いこだわりがあります。国内生産できちんと品質管理し、販売後も全国約400か所のサポート拠点網のサポート体制(NECフィールディング)があることは、販売パートナー様とビジネスをしていくうえで最も重要な部分と考えています。それが当社のサーバーである「Express5800」が20年連続で国内シェアNo.1※という実績につながっていますし、それをベースに販売パートナー様のビジネス拡大になるよう、新しい価値を加えていきたいと思います。

※1996~2015暦年国内x86サーバー(出荷台数、出荷金額)
【出典】IDC Japan, Japan Quarterly Server Tracker CY16Q3 IDCでは、ベンダー出荷実績の差が1%未満の場合、タイ(同位)として扱う。


 米国での調査では、計画外の停止率の低さという点でIBMの「System z」に次いで当社の「System x」がくるなど、信頼性の高さに自負があります。顧客満足度調査でも、外資系で常に上位です。また、6月よりグループ会社であるNEC PCの米沢工場で出荷前にサーバーを検品する体制も整いました。また、同工場でのインテグレーションも可能になったことで、選択肢も増え、お客様に高く評価されています。

魚田 現在、正社員のサポート専任のコールセンタースタッフが川崎と宮崎で600人在籍しており、パートナー様とともに全国200か所の保守サービス拠点から1200人以上の技術者が、お客様をサポートしています。そして、川崎のグローバルコマンドセンターから、製品タグを活用して保守部品の配置・配送、オンサイト保守対応状況も一元的にリアルタイムに把握・管理できる体制を整備し、質の高いサポートの提供につなげています。

パートナーと一体となって新たなビジネスを模索する

──パートナーとのつき合い方や支援について、これまでと比べて変化がありますか。

 当社の場合、IBM時代と違ってハード専業となったことで、さまざまなソフトウェアベンダーと組みやすくなりました。多くのベンダーの方々と、柔軟にソリューションを組み立てることができるようになったため、販売パートナー様は、お客様の課題に応じた最適なご提案が可能になったと思います。

渡辺 おつき合いのスタンスは従来と変わりません。しかし、クラウド化が進み、販売パートナー様の収益構造も変化しつつあるなか、ハイブリッドやIoTなど新たなニーズに応える商材を、販売パートナー様とともに創出していく活動に力を入れています。

魚田 とくに力を入れているのはパートナー様との共同マーケティング活動です。案件発掘を目指すマーケティング活動をパートナー様と一緒になって頻繁に実施しています。

──最後に、パートナーへのメッセージをお願いします。

魚田 パートナー様と一緒になってビジネスをつくっていきます。そのための商材を取り揃えています。EMCが加わり、さらにラインアップが豊富になったので、さまざまなソリューションに活用していただきたい。また、トレーニングプランも充実させます。世界では、16年第2四半期(4~6月)に出荷台数で初のトップになりました。日本でもシェアアップを目指します。

 レノボとして、今まで、「顔がみえにくい」という状況を変えることに取り組み、徐々に改善できてきたと思っています。協業のスタイルについては、当社の製品を上手に活用していただき、販売を伸ばしていただけるよう、取り組みをさらに進めます。そのため、とくにSEの方々への支援を充実させます。また、IBMとの協業を強化しており、そのシナジーによるシェア回復を加速させています。目標は、IBM時代のサーバーシェアに戻すことです。

渡辺 パートナー様との関係をさらに深めていき、IoT時代を見据えた新しい関係を構築します。繰り返しになりますが、顔認証技術など当社の強みとパートナー様がもつ製品、例えばホテルパッケージや入退場パッケージと組み合わせることで新しいソリューションをつくって市場を創造することを目指します。目標は21年連続シェアNo.1になることですが、シェアだけを追うのではなく、サーバーを生かしたビジネスの拡大にも取り組み、市場を活性化したいと思います。

BCN Bizline 読者アンケート
『サーバーメーカー座談会2016』に関するアンケート
http://www.seminar-reg.jp/bcn/survey_servermaker2016/

外部リンク

レノボ・ジャパン=http://www.lenovo.com/jp/ja/

NEC=http://jpn.nec.com/

デル=http://www.dell.co.jp/HybridCloud