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日本経済研究所 ITと異業種の距離感の近さに可能性あり地方創生成功のためのポイントを解説

2017/02/09 09:00

週刊BCN 2017年02月06日vol.1664掲載

 基調講演に登壇した日本経済研究所の鍋山徹・専務理事地域未来研究センター長は、「IoTと地方創生-10のエピソード-」と題して、具体的なエピソードをもとに、地方創生を成功させるためのポイントを説いた。

東京にデータとお金が集まるだけ?

鍋山 徹
専務理事
地域未来研究センター長

 基調講演に登壇した日本経済研究所の鍋山徹・専務理事地域未来研究センター長は、「IoTと地方創生-10のエピソード-」と題して、具体的なエピソードをもとに、地方創生を成功させるためのポイントを説いた。

 鍋山専務理事は、「IoTビジネスは、結局データを活用する企業の本社がある東京にお金が集まるだけ、というのが地方にとっての課題」と指摘。一方で、地方には「IT、製造業、サービス業など異業種の現場や人間関係の距離がほどよい近さにあるのが大きな強み」とし、「(新しいビジネスを発想するための)“気づき”が生まれやすいこの環境を生かして、地方では隙間を取っていくようなビジネスモデルに可能性がある」と説明した。

「無難」な取り組みでは結果がでない

 鍋山専務理事が披露したエピソードで、いの一番に登場したのが、日本電産の永守重信社長が経営の基本に据えているという「100本のマッチ」だ。「地方創生は一言でいうと、“企業経営”が求められている。人口減少時代の地方自治体は、みんなが無難にやっていても結果が出ない。参考になるのが、日本電産の永森社長が経営の基本だといっている100本のマッチの話。全社員を100本のマッチとすると、60本は事なかれ主義の安定志向で、よくいえば会社の安定を守っている。一方、リーダーシップを発揮するのは3本ほどで、その人たちと一緒に燃えているのが17本ほど。彼らが経営を引っ張っている。残りの20本は湿っていて、会社にあまり貢献していないというのが企業の一般的な姿だという。しかし永森社長は、湿っている20本のなかにこそすごい人がいると指摘する。何らかの原因で腐っている人たちに光りをあて、彼らが燃え始めると、事なかれ主義だが会社をよくみている60本も燃え始め、潮目が変わる。地方創生はまさにこの潮目を変えるプロセスが大事だ」と鍋山専務理事は説明する。

 さらに、“潮目”を変えるために必要な人材についても言及した。鍋山専務理事は、「よそ者、若者、馬鹿者という気骨のある変革者はもちろん、彼らの後ろ盾となり、既得権者などが足を引っ張るのを防いでくれる人がいなければならない。2000年当時のiモード革命でも、日本のメディアは松永真理氏や夏野剛氏ばかりをもてはやしていたが、スタンフォード大学のビジネススクールでは、NTTからドコモに派遣され、彼らの後ろ盾となった役員の方をもっと高く評価していた」と解説した。

国家創生と事業創生には英語が大事

 また、日本そのものをグローバル市場で浮揚させるためのキーポイントとして、「グローバル言語での情報受信+発信が必要」とも指摘。「2016ユーキャン新語・流行語大賞」でトップ10入りした「PPAP」を歌うピコ太郎と、シンガポールの初代首相であるリー・クアンユーの共通点として「いずれも英語で情報発信したことが世界でプレゼンスを高めたことの前提となっている。国家創生と事業創生の観点では非常に重要だ」と訴えた。
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外部リンク

日本経済研究所=http://www.jeri.or.jp/

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