国内コンバージドインフラ(CI)市場では、年平均成長率が2ケタ成長との見方が多い。そのなかで、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)が注目を集めている。CI市場に占める割合が年を追うごとに増えており、ユーザー企業による導入への関心が高まっている。今後、国内での普及がさらに進むことが予想される。その一方で、どのようにビジネスを手がけていけばいいのかが問われている。そこで今回、HCIを展開する主要メーカー3社の担当者に集まっていただき、2016年の市場を振り返りながら、17年の製品戦略や販売強化策、パートナー戦略をうかがった。(司会・進行/『週刊BCN』副編集長 佐相彰彦)

2016年は“HCI元年”
パートナーの育成に注力

――HCI市場は大きく成長して、かなりの伸びを示すといわれています。そこで、まずは2016年の市場感と取り組んだ施策を教えてください。
 

シスコシステムズ
石田浩之
データセンター/
バーチャライゼーション事業担当

部長

石田(シスコシステムズ) HCIの「Cisco HyperFlex」は2016年4月の国内発表で、文字通りゼロスタートでしたから、いかに製品を立ち上げて、新たなお客様を獲得し、実績をつくるかに注力しました。ただ、そのベースにはサーバーの「Cisco Unified Computing System(UCS)」がありましたから、それをうまく生かしながら、認知度を上げるための取り組みを進めたチャレンジの1年でした。

 HyperFlexの発表当初は若干、機能的に足りない部分もありましたが、今年3月から「Ver.2.0」を提供し、さらに7月には「Ver.2.5」にバージョンアップして、かなり充実します。今後は非常に競争力の高い製品として市場に積極展開できると考えておりまして、パートナーからの引き合いも急速に増えています。

レノボ・エンタープライズ・
ソリューションズ
橘 一徳
データセンターソリューション事業
ソリューション営業本部

本部長

橘(レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ) 当社も、昨年1月に日本でLenovoサーバーとNutanixによるアプライアンス「Lenovo Converged HXシリーズ」を発表し、立ち上げの年でした。アプライアンスは新分野の製品でしたので、自らが製品を理解したうえで、パートナー様にどう展開していくか、オペレーションの整備に3か月を費やしました。

 4月に本格的な営業活動を開始して、社内の技術者全員にNutanixの資格を取得させ、サポート体制を整備、そして製品の認知度を上げるため、セミナーや広告を通じたプロモーションを展開しつつ、パートナーの新規開拓に取り組みました。9月には、パートナー様向けの説明会や合宿型の技術トレーニングを実施したほか、グループの生産拠点であるNEC米沢工場にプロフェッショナルサービスのためのスペースを確保するなど、サプライチェーンを整備しました。それが10月以降、案件の獲得に結びつき、昨年下期から今年3月までで約200ノードを販売しました。

EMCジャパン
浮田竜路
CPSD事業本部
事業本部長

浮田(EMCジャパン) 当社は昨年よりも前にHCIを提供していましたが、やはり昨年が“HCI元年”と位置づけています。一方、販売については昨年後半からかなりの伸びを記録し、「市場がHCIを求めている」と実感できるくらいの数字を達成することができました。

 当初は、地方自治体によるネットワーク分離に伴う需要が中心でしたが、今はエンタープライズにも波及しています。まずは、どこまで実用に耐え得るか試験的に導入するケースが大手を中心に目立ちました。そのトライアルの結果が、今年以降の需要としてあらわれてくるものと期待しています。

 販売パートナーへの支援については、「VxRail」とNutanixソフトを搭載する「XCシリーズ」で異なりますが、VxRailは技術トレーニングとともに、パートナーの方々による自前のインプリメンテーションを可能にするためのトレーニングに注力しました。
――やり残したこと、不十分と感じることはありますか。

 ユーザーの方だけでなく、パートナー様も含めて「HCI」という言葉は知っていても、具体的に理解しているかというと、十分には浸透していないと感じています。その辺りをどうしていくかは、当社だけなく業界全体の課題だと考えます。

浮田 HCIのメリットは、シンプルかつスピーディに導入できることです。一方で、運用フェーズでも、最低限の運用ノウハウが必要になることを販売側も意識しなくてはいけないです。販売側としてサーバーやストレージなど、従来のハードウェアありきのサポートではなく、HCIならではのサポート体制を整備することが必要と考えています。

石田 パートナーの方々へのイネーブルメントです。当社のパートナーは、これまで9割の方々が自営保守をしていただいていましたが、HCIはソフトウェアとハードウェアが非常に密接に連携しているので、そこを含めてパートナーが安心して自営保守できるかという点が課題と捉えています。そこで、今まで以上に情報を整備し、技術情報を開示、密にコミュニケーションしていくことが必要と感じています。
 
 
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