君はガチンコ!をみたか――。競合する企業が壇上に並び、プレゼンによるバトルを繰り広げる。ネットワールドの名物企画だ。今回のバトルテーマは「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)」と「コラボレーションツール」の二つ。9月6日開催の東京会場から、白熱したガチンコセミナーの模様を紹介しよう。

働き方改革が日本を救う!

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森田晶一
ネットワールド
代表取締役社長

 ネットワールドは9月6日に東京、9月15日に大阪の2会場において、Networld .next 2017を開催した。オープニングで登壇したネットワールドの森田晶一代表取締役社長は、同イベントの名称にある「.next」ついて触れ、「皆様の少しでも役に立つイベントにしたいとの思いを込めて、昨年『Networld .next』とした。このイベントで業界の“次”のことを伝えたい」と語った。5年目となる同イベントは、年々規模が大きくなっており、今回も入場者数とスポンサー数で過去最大を更新した。

 Networld .next 2017のテーマは「ガチンコ」と「働き方改革」。ネットワールドは、1998年からリモートワークを実現するITインフラを提供しており、多様な働き方の実現に向けた支援をしてきた。ただ、森田社長は「ITだけでは解決できないものがある。働き方改革の実現は、そんなにあまいものではない」と語り、基調講演や各セッションを通じて働き方改革の取り組みに貢献したいとアピールした。

 森田社長のオープニングトークを受けて東京会場で登壇したのは、ワーク・ライフバランスの小室淑恵代表取締役社長。「経営戦略としてのワークライフバランス」と題し、なぜ今、働き方改革が必要とされているのかについて講演した。

 小室社長は、冒頭にワークライフバランスとワークファミリーバランスを取り上げ、多くの企業が間違った取り組みをしていると紹介した。子育てや介護を必要としている社員を優遇するのが、ワークファミリーバランス。これではしわ寄せがその他の社員におよぶなど、現場に不公平感を生み、業績にマイナスの影響を与えるという。「すべての人にライフがある。すべての社員の働き方を見直してこそのワークライフバランス。現場に不公平感を生むワークファミリーバランスは、業績に貢献しない」。

 働き方改革は国策として推進されている。小室社長は、その理由を少子化対策にあると説明した。人口を維持するには、一組の夫婦から二人以上の子どもが生まれる必要がある。ポイントは、二人目以降。「二人目が生まれる家庭は、夫の帰宅時間が早いという統計がある。育児に夫の協力が必要ということ。つまり、働き方改革は“男性の働き方改革”を必要としている」と小室社長。その点では、日本の労働事情は異常だったと指摘した。また、労働人口が減るなかで、今できる対応として女性の社会参加、将来に向けた対応として、少子化対策があるとし、その延長としての働き方改革であると説明した。
 
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「新世代のIT基盤と私たちの働き方を考える」セッション

 「タイムリミットは、この先2年」。団塊ジュニア世代の出産期が終了する。その後は出生率が上がったとしても、若者人口は急激に減少していくため、出産数が減ることになる。小室社長は、企業に早期の取り組み開始を求め、講演を終了した。

ITで実現する働き方改革

 基調講演を受けて、ネットワールドは「新世代のIT基盤と私たちの働き方を考える」と題したセッションを用意。仮想デスクトップ(VDI)や運用管理の自動化を実現するソリューションの有効性などについてデータを用いて紹介した。

 まず、VDI。リモートで働ける環境の実現やセキュリティ対策などで、多くの企業が導入しているが、ゲーム関連や映像関連といった高度な処理を要求するクリエイターを満足させられるのか。壇上では、VDIにGPUの仮想化機能を追加する仕組みであるvGPUを利用するデモンストレーションを実施。vGPUにより、ワークステーションと同等の性能を発揮でき、クリエイターでもリモートオフィスが可能であるとした。また、Windows 10では高性能なグラフィックスを要求するため、VDIではGPUが必要との声があるが、実行環境をみせながら「オフィス系のアプリケーションを使用する業務であれば、VDIで大丈夫。GPUが必要というのは都市伝説」と説明した。

 また、ネットワールドの複合システム検証センター「GARAGE」を紹介し、システム管理者の負荷軽減を実現するための実験的なソリューションとして「Hey GARAGE」のデモンストレーションを行った。Hey GARAGEは、今回のイベントのために手づくりしたAI認識装置で、声で指令すればサーバー環境などを自動で構築するという機能をもつ。最新技術で、システム運用管理においても働き方改革ができることをアピールした。

HCIでガチンコ!

 VDIを支えるITインフラとして採用が進んだHCI。VDIの採用で働き方改革を推進という一面もあるが、運用管理の容易さという点でもシステム部門の働き方改革をサポートするのがHCIだ。クラウドの手軽さをオンプレミスで実現するというコンセプトが受け、VDI以外の用途でも注目を集めている。
 
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「HCIガチンコセミナー」セッション

 そのHCIをテーマにガチンコに挑んだのが、シスコシステムズ、Dell EMC、ニュータニックスという市場をリードする3社。ガチンコセミナーは、アンケートシステムを利用し、会場の参加者の投票により、優劣をつけるというもの。HCIの優劣だけでなく、プレゼンテーターの力量も大いに影響してくる。

 最初の投票は「どのメーカーのプレゼンを聞きたいか」。結果は、トップがニュータニックス、そして、Dell EMC、シスコシステムズ。各社のプレゼンは、この順番でスタートした。

 ニュータニックスのプレゼンテーターは開口一番、「HCIの会社ではない。エンタープライズクラウドOSの会社である」と先制パンチ。マルチクラウドの時代において、複数のクラウドとオンプレミス環境をシームレスに接続するというのが、ニュータニックスの主張である。また、HCIではマーケットシェアNo.1で、すべてのハイパーバイザーに対応していることをアピールした。

 次にDell EMCは、同社のHCI製品「VxRail」について、シンプルであることをアピール。そのポイントとして、IT環境を集約できること、シンプルに運用できること、更新や更改がシンプルにできることなどを挙げた。そして、これらにより、顧客のIT環境をシンプルにできることを強調した。

 最後にプレゼンを行ったシスコシステムズは、「Cisco HyperFlex」について、インフラを集約し、よりシンプルに運用できる環境を提供できると説明。そして「とにかく速く、とにかく安定している。また、CPUやメモリなどを追加でき、外部ストレージに対応するなど、柔軟な構成がとれる」ところが特徴であるとした。

 各社のプレゼンを終え、会場の参加者からどのHCIがよかったかのアンケートを実施。会場の支持が最も多かったのは、ニュータニックスだった。

 次は司会者の質問に答えるかたちでのアピール合戦。最初の問いは、「市場でどこと一番ぶつかる?」。シスコシステムズとDell EMCは、ニュータニックスを挙げた。そうしたなかで、シスコシステムズは高い性能とサポート力などをアピール。Dell EMCは、顧客ニーズに最適な提案に注力し、勝ち取っているという。また、子会社であるヴイエムウェアとの連携により、シンプルなHCIを提案できるとした。ニュータニックスは、シスコシステムズとDell EMCの両社と競合するとしつつも、他社との比較ではなく、自社製品の性能をアピールすることに注力していると説明した。

 次に来場者からの質問を受け付け、それをもとに各社が回答した。主な質問は、「HCIの導入でボトルネックは何?」「HCIの欠点は?」「本当は何が違うの?」というものだった。

 そして、最後の判定、「いちばんイケてるメーカーはどこ?」。トップに躍り出たのは、Dell EMC。なんと、大逆転の結果となった。

コラボツールでガチンコ!

 もう一つのガチンコセミナーは「コラボレーションツール」。働き方改革に直接貢献するITソリューションである。ガチンコに挑んだのは、シスコシステムズ、日本IBM、日本マイクロソフト(プレゼンテーターはネットワールドのマイクロソフト担当部門)の3社。HCIガチンコセミナーと同様、会場の参加者の投票によってガチンコバトルが進行した。
 
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「コラボレーションツールガチンコセミナー」セッション

 最初の投票は「どのメーカーのプレゼンを聞きたいか」。トップが日本マイクロソフトで、次にシスコシステムズ、日本IBMという結果だった。

 日本マイクロソフトは、クラウドサービスの「Office 365」を取り上げ、20以上という豊富なサービスがあることを強調。そこから、共同作業に有効なコミュニケーションツールなどについて説明した。また、AI(人工知能)を活用した業務効率化なども、すでに実現可能な状態にあることを紹介した。

 シスコシステムズはまず、「全社員がテレワークを利用しつつ、仕事の質を上げるには、コラボレーションツールはどうあるべきか」から取り組んだと説明。その結果、ユーザーインターフェース(UI)の統一、外部とセキュアに接続できることに注力したという。その思想のもとに開発したビデオ会議端末「Cisco Spark Board」シリーズは、「誰もが簡単に使える専用デバイスである」として、実機を用いてデモンストレーションを行った。

 日本IBMは、クラウド型ツールであるウェブ会議室「IBM Connections Meetings Cloud」を紹介。業務の効率を上げるには、会議やメール、文書の作成を減らす必要があり、それらの実現に貢献するとした。また、同社のコグニティブサービス「IBM Watson」との連携により、新しい気づきを与える機能もあるという。

 各社のプレゼン終了後のアンケートでは、トップがシスコシステムズと早くも逆転。会場の興奮が冷めやらぬなか、質問タイムに入った。

 最初の質問は「働き方改革への支援は?」。また、会場からは「10年後、日本人の働き方はどうなっている?」「頭のかたい上司をどう説得するか」といった質問が出た。ツールとは関係のない質問も出たが、各社の立場から積極的に回答していた。

 そして、今回も最後の投票は「いちばんイケてるメーカーはどこ?」。勝ち取ったのは、途中で逆転したシスコシステムズだった。「働き方改革は、テレワークだけではない。いろいろなやり方がある」と勝利のあいさつにより、ガチンコセミナーが終了した。
 

編集長の眼
ネットワールドはガチンコ開拓者だ

 小室社長の講演には圧倒的な説得力があり、すっかり感化されてしまった。働き方改革への取り組みは必須だ。なかにはIT業界が国策に便乗しているとの批判もあるが、気にする必要はない。「タイムリミットは、この先2年」。IT業界は使命感をもって取り組まなければいけない。

 そして、二つのガチンコセミナー。限られた時間でのアピール合戦は、本当に見ごたえがあった。そして、投票システムの活用により、会場との一体感も生まれる。最初の投票で出遅れるも、プレゼンテーターのアピールが会場の心をつかみ、逆転してしまう。ネットワールドの企画力もすばらしい。やはり、ネットワールドは開拓者だ。