ワンダフルフライ株式会社/上海网云信息咨询有限公司

 エクセルでの日々の業務管理は、入力作業や管理するデータ量の多さから業務効率を低減させ、業務課題となっている日系企業は少なくない。「SaaSForce」は、ワンダフルフライが自社の受諾開発案件で蓄積したノウハウやナレッジを集約した業務アプリケーション開発基盤だ。日系企業が抱える業務課題を解決し、短期間・低コストで業務アプリケーションの構築を実現する。今回、新たに開発したシステム自動開発ロボット「E-Labor」サービスについて平田雅子代表取締役社長に話を聞いた。

エクセルを分析して
業務アプリを自動的に構築

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平田 雅子
代表取締役社長

 「AI」「IoT」「フィンテック」「ブロックチェーン」といった技術革新やトレンドをキャッチアップすることは企業の成長にとって必要不可欠になりつつある。企業の成長や市場の変化に対応するためには、これまでのパッケージシステムでは対応が難しいこともしばしばあり、昨今は柔軟に適応できるシステム構築を求める声も少なくない。例えば、スタートアップの場合、起業当初は営業活動や仕入れ・売り上げ、プロジェクトの行程情報などエクセルでの情報管理も可能であるが、年月とともにそのデータ量は増加の一途をたどる。データ量が増えると必然的に処理が重くなり、エクセルでは効率的な管理が難しくなる。その解決策としてスクラッチで業務システムを開発する企業もあるが、コスト負担が大きいなどの理由から簡単に導入を判断することは難しい。このような課題に直面する日系企業からワンダフルフライには日々相談が寄せられる。

 SaaSForceは要件定義するだけで業務アプリケーションの構築が簡単にできる開発プラットフォームだ。今年5月にはVer6.0をリリースし、自動開発ロボット「E-Labor」を新たに搭載。システムの自動開発の精度を一段と高めることを可能にした。基本的にはエクセルと自然言語のみでシステム設計ができ、そのデータをSaaSForceにインポートするとE-Laborが設計書を分析する。そして、これまで蓄積したデータベースから適切なユーザーインターフェースや仕様を自動で決定し、ユーザーが必要とする機能を備えた業務アプリケーションをノンプログラミングで構築する。また、ワークフローなどの既存システムとの連携も簡単に設定できるほか、BI機能も標準搭載しており、経営判断に必要となる情報の可視化を支援する機能も実装している。SaaSForceはクラウド環境での利用を想定した開発プラットフォームではあるが、オンプレミスでも運用が可能だ。ユーザーは自社の環境に合わせて利用方法を選択できる。SIerやクラウド基盤を提供するITベンダーであれば、自社のパッケージ製品やサーバーにバンドルさせてユーザーに提供できる。日本ではすでに大手SIerによるサービスの実績もある。平田社長は、「E-Laborによる自動開発が開発工数やコストを大幅に削減し、新たな業務アプリケーションの構築やレガシーシステムを短期間に低コストで新しいウェブシステムへと移行することができる」と自信をみせる。

10年の蓄積されたノウハウが
短期間でのシステム化を実現

 市場の成長が早い中国では、短期間で新たな業務への対応やシステム変更を求められることも少なくない。「近年、人件費の高騰や中国ローカル企業の台頭もあり、中国に拠点を構える日系企業ではIT人材の不足が課題の一つになっている」と平田社長は話す。

 実際のシステムにおける課題も、「15年以上も前にVisual Basicで構築されたシステムを利用し、今後新しいOSへの対応ができないので困っている」「各拠点が独自に多種多様なツールを導入しているため、情報の一括管理が難しい」「年々複雑化する業務をシステム化したいが、コストと開発期間がネックとなり、システム化を躊躇している」とさまざまだ。

 日本で多くのシステム開発に関わってきたワンダフルフライ。もともとは自社の開発作業をより効率化させることを目的に2008年からSaaSForceのプロジェクトをスタートした。以来、この10年で金融業から小売流通業、製造業を中心に幅広いシステム開発に携わってきたノウハウがE-Laborに蓄積されている。

 中国でもすでに導入実績がある。国内外の生産工場から商品を仕入れて販売する貿易会社では貿易業務における見積・入荷・支払・出荷・入金・在庫管理の業務アプリケーションをE-Laborで自動構築し、複数に分散していたシステムを統合、業務プロセスの効率化と継続的な改善を実現した。平田社長は、「これまで蓄積されたナレッジがあるからこそ導入から2週間でシステム稼働を実現させることができた」とその背景を語る。

 ワンダフルフライは12年に上海子会社の上海网云信息咨询有限公司を設立。これまでは日本のオフショア開発拠点としての役割が大きかったが、今年から中国市場で本格的な営業活動を始めるため、中国人エンジニアの育成や日本語教育に力を入れている。日本と中国で活躍できる人材を増やし、中国に進出する日系企業のさまざまな課題に対応できるよう今後も中国国内の体制を積極的に強化していく構えだ。