「PowerRay」最新モデルの取り扱いを開始

 空撮用を中心に、数多くのドローンを取り扱うソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)が3月、ついに水中ドローンをラインアップに追加した。今回取り扱う「PowerRay(パワーレイ)」は、コンシューマ向けで支持を集める水中ドローンのなかでも有力製品だが、ソフトバンクC&Sでは法人を対象にした提供に力を入れる方針だ。点検業務やダイバーの安全確保などでの利用を促し、市場拡大に取り組む。

PowerRay最新モデルを提供

 PowerRayは、中国PowerVision Technologyが開発した水中特化型のドローンだ。最深30メートルまで潜水し、巡航速度は最速1.5m/秒(静水中)。最長4時間の航行が可能なバッテリを内蔵する。加えて、自社製4Kカメラを備え、LEDライトも搭載しており、鮮明で高画質の撮影を実現する。
 

水中ドローン「PowerRay」
 

ICT事業本部MD本部
ハードウェア統括部
ドローンマーケティング室
室長
加藤丈晴氏

 PowerRayの提供にあたっては、機体本体に加え、コントローラ、通信ケーブル(70m)、VRゴーグル、ベースステーション、充電器、ソナー(魚群探知機)、キャリーケースを同梱する。コントローラにスマートフォンを取り付けることで、ドローンが撮影した映像を確認でき、VRゴーグルを用いると、バーチャルで水中遊泳を堪能することが可能だ。

 ソフトバンクC&SはPowerRayの販売開始にあたり、最新モデルを用意した。機体姿勢の安定性やホワイトバランスを向上している。さらに、通信ケーブルを巻き取るリールを付属した。「万が一のときでも、ケーブルを使った回収がしやすくなった」と、ICT事業本部MD本部ハードウェア統括部ドローンマーケティング室室長の加藤丈晴氏は最新モデルの特徴を説明する。

産業用途に力を入れる

 水中ドローンと聞くと、魚釣りやマリンレジャーなど、コンシューマ向けでの利用をイメージするかもしれない。実際に、PowerRayも海や川で使うことができ、「レジャー向けの利用で有名で、売れているモデル」だと、加藤氏は話す。

 しかし、ソフトバンクC&Sが注力するのは、法人に向けた展開だ。沈没船、水難事故、ダムといった各種の調査、湾岸・湖岸の警備、養殖場やダイビングイベントなど、水中ドローンが力を発揮できる舞台は多岐に渡ると考えているという。

 「メーカーが昨年実施したアンケート調査で、PowerRayをビジネスで活用している顧客が全体の3割強にのぼることがわかっている。ここを広げていきたい」と加藤氏。「PowerRayは、円を描きながら潜るのが特徴。養殖で使う定置網の点検や、養殖魚の健康状態のチェック、ダイバーが潜る前の水中確認などの産業用途で利用できる。コスト削減や危険な場所での利用を目的に、今後は産業用途での活用は増えていくとみている。こうした分野に対して、当社のICTチャネルを通じて提案活動を強めていきたい」と、ビジネスにおけるドローンの活用を推し進めていく考えを示す。

 ソフトバンクC&Sは2016年に法人を対象にしたドローンビジネスを開始。昨年2月、法人向けドローンのポータルサイト「DroneBank(ドローンバンク)」を立ち上げた。このサイトでは、ドローンの使い方や事例の紹介など、ドローンビジネスに役立つ情報を提供するとともに、ドローンをトライアルで使ってみたいという顧客に対して、機体の貸出も受け付けている。

 今回、同社初の水中ドローンとして取り扱いを開始したPowerRayも、ドローン製品のラインアップに追加した。3月1日の発表から間もなく引き合いがきて、「反応が非常にいい」(加藤氏)と、手応えを感じている様子だ。

今後の新製品にも期待

 開発元のPowerVision Technologyは、今年1月に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2018」で、新製品の水上ドローン「PowerDolphin(パワードルフィン)」を初披露した。4Kカメラを搭載するのはもちろん、無線による1km圏内のリモートコントロールができるようになる。さらに、釣針やルアー、浮き輪をはじめとする救助用品などの取り付けが可能。魚釣り、水難救助など、幅広い用途に活用できるという。

 ソフトバンクC&Sもこの新製品に注目。加藤氏は「自動航行が可能な水上ドローンで、GPSで指定した座標に行ったり、海底を撮影して海底図を作成したりすることができる。水上を動けることで、ドローン活用の用途がさらに広がる」と、期待を寄せている。

 PowerDolphinの市場投入時期は未定。加藤氏は「PowerRayの取り扱いを皮切りに、PowerVision Technologyが新たにリリースする製品にも力を入れていきたい」との意向を示す。水中・水上ドローンにも目が離せなくなりそうだ。