今回、Autonomous Database Cloudの第一弾サービスとして提供を開始したのが、クラウド型のデータ分析基盤となるAutonomous Data Warehouse Cloudだ。さらに、今夏には「Autonomous OLTP Database Cloud」の提供を予定している。二つのサービスのコアとなるエンジンは基本的に共通しているが、必要とされるトランザクション特性が異なることから、それぞれに最適化したサービスにしているという。
より簡単、より高速、より柔軟
エンタープライズレベルのSLAを保証
Autonomous Data Warehouse Cloudは、より簡単、より高速、より柔軟という三つの特徴をもち、複雑な設定やチューニングを自動化し、その管理をユーザーのポリシーにもとづいてクラウド側が自律的に行う。Oracle Databaseが備える分析機能やセキュリティ機能といったメリットを活用しながら、ワークロードやデータ量の変化にも動的に対応、ダウンタイムなしで利用することを可能にする。
佐藤本部長は、「DWHの設計、構築、チューニングには多額のコストと時間がかかることが、多くの企業にとってデータ活用のハードルを上げる要因になっていた。Autonomous Data Warehouse Cloudでは、サイジングなどは必要なく、3ステップだけでDWHを構築できる。しかも、はじめからチューニング済みですぐに分析作業がスタートできる。初めてDWHを構築する場合でも、数時間で作業を完了できるはず」とメリットを語る。
Autonomous Data Warehouse Cloudについて先行検証を実施したアシストでは、オンプレミスで導入したOracle Databaseと比べて検索処理時間は約10分の1、SQLチューニング工数は約20分の1に削減するなど、自動チューニングによる高い効果を実証している。
クラウド型データ分析基盤のサービスには、すでにAWSの「Redshift」やグーグルの「BigQuery」などの競合サービスが存在している。こうした他社サービスとAutonomous Data Warehouse Cloudの違いについて佐藤本部長は、柔軟かつ高い拡張性を備えている点を挙げる。
「Autonomous Data Warehouse Cloudは、必要に応じてCPUとストレージを個別に拡張~/縮退することができるため、真の意味で投資の最適化が可能だ。その際も無停止で即時に拡張できる。もう一つ、他社サービスと異なる点は、エンタープライズクラスの大規模な同時アクセスにも対応できることだ。サービス開始当初のニーズは、小規模データの分析が中心になると考えているが、部門レベルのデータマート、エンタープライズDWH、非構造化データを含む大規模な機械学習まで、あらゆるカテゴリでの利用を促進していきたい」と力を込める。
今後のロードマップでは、ユーザーのデータセンターでマネージドクラウド環境を提供する「Oracle Cloud at Customer」でも、Autonomous Data base Cloudの提供を予定している。オラクルでは、DB以外の領域でも広く自律型クラウドサービスを展開していく計画だ。現時点では、アプリケーション開発、アナリティクス、セキュリティなどの領域でのサービス展開を予定している。