VMwareが5月に発表した「VMware 2017 Partner Innovation Award」で、ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)がAPJ(アジア太平洋ならびに日本)地域の「Marketing Partner of the year」を受賞した。単なる宣伝広報や販売活動にとどまらない「売るための体制」が評価されての受賞だという。同社のICT事業本部MD本部ICTソリューション販売推進統括部仮想化クラウド販売推進室室長の廣田真吾氏と、大塚正之氏にその背景を聞いた。

VMwareパートナーアワード2年連続受賞の「理由」に迫る


案件創出の取り組みで前期比2ケタ成長を達成

 ソフトバンクC&Sは今回、2年連続でのVMware Partner Innovation Award受賞となった。受賞理由は、もちろんVMware製品の販売成績がすぐれているからだが、「今回は格別だ」と廣田室長。「前回の受賞理由は、地方自治体でのインターネット分離ニーズを受けて数字が伸びたことが大きいと考えている。しかし今回は、その前年実績をさらに上回って受賞したことに価値がある」と力を込める。

 自治体におけるインターネット分離ニーズは、総務省が期限を区切って全国の自治体に指導したことから発生した、いわば一過性の特需のようなもの。その特需が一段落した後もなお、ソフトバンクC&Sは多くの案件を獲得し続け、VMwareビジネスで前期比2ケタ成長を達成した。

 その成長には、同社がディストリビュータとしてVMwareや販売パートナーとともに案件を創出し、クロージングまでフォローする体制を構築してきたことが大きく寄与した。「ビジネスの創出に関する数字でいえば、2017年は16年と比較して、パイプラインが10倍になっている。今までのように“市場の流れに乗っている”のではなく、当社が“市場をつくっている”といえるだろう。こうした取り組みがVMwareにも評価され、今回の受賞につながったのだと考えている」と廣田室長は話す。
 
ソフトバンクC&SがVMwareビジネスで担う役割

数字を意識したマーケティングをさらに強化

 
廣田 真吾
ICT事業本部 MD本部
ICTソリューション販売推進統括部
仮想化クラウド販売推進室
室長
 このように万全なVMwareの販売体制を敷いてきたソフトバンクC&Sも、3年ほど前までは一般的なマーケティング活動にとどまっていたという。

 「それまでは主に、ハンズオン教育やユーザー企業内での横展開、勉強会などを実施してきた。しかし、それは“やっている感”こそあるが、エンドユーザーの名刺をもらってもあまり役立てることができていなかった。マーケティングというと宣伝広報活動のようなイメージがあるが、そうした体制を変えていく必要があった」と大塚氏は打ち明ける。

 この反省を生かし、約2年前から結果を出すマーケティングを意識し、案件化からクロージングまで積極的にかかわるようにした。需要喚起に力を入れる姿勢を明確にしたVMware、クロージングに欠かせない販売パートナーとともに、3者が協力し合って顧客に向き合う体制をつくり上げたという。

 「VMwareとともに、メディアへの記事広告やイベントで積極的にリードを獲得するだけでなく、獲得したリードを当社のマーケティングデータベース(DB)に登録し、インサイドセールスによってそのDBのクリーニングやメンテナンスを継続的に行っている。例えば、エンドユーザーが半年後に次を考えているのであれば、その頃合を見計って提案してきた。いうなれば、数字につながるまでアクションしていくマーケティングに取り組んでいる」と、廣田室長は説明する。

販売パートナーに対してもマーケティング活動を実施

 
大塚 正之
ICT事業本部 MD本部
ICTソリューション販売
推進統括部
仮想化クラウド販売推進室
 ソフトバンクC&Sのマーケティング活動は、顧客に対してのみならず、販売パートナーに対しても展開されている。パートナーの技術者や営業担当者向けにハンズオンやトレーニングを実施し、モチベーションの向上を図っている。さらに、案件化しそうな顧客を、内容や地域性などに応じてパートナーとマッチングさせ、ソフトバンクC&Sはそのクロージングまでをパートナーの背後からフォローしている。

 「インサイドセールスやクロージング支援などの一連の取り組みは、パートナーの皆様にも喜ばれている。最近、一緒に仕事をしたパートナーの方からは、『パートナーシップを感じる』という声をいただき、とても嬉しく思っている。一方で当社のマーケティングも、このように“売る体制”ができて、ようやく、どういったリードを取っていけば成果につながるのかを実感を伴って考えられるようになってきた」と大塚氏。

 マーケティングDBの登録件数は昨年度末時点で1万件超に上る。しかもそれは、メンテナンスを続けている“生きたデータ”として蓄積してきたものだ。昨年度は約7000のリードを新たに獲得し、クリーニングを経て4000件ほどになったという。

 「このサイクルを確立し、市場に役立てるようになったことこそが、われわれの強みだと考えている。これからも、当社と一緒に仕事していただける販売パートナーの皆様には、積極的にかかわっていただければと思っている」と、大塚氏は強調する。