テクバンがクラウドビジネスの拡大を積極的に進めている。エンドユーザーと直接のビジネスを増やす施策の中核に位置づけるのが「Oracle Cloud」だ。後藤昌貴・取締役本部長は「SaaS、PaaS、IaaSがフルで揃い、サービス同士の親和性やコストパフォーマンスの高さが魅力」と話し、オンプレミスシステムからOracle Cloudへの移行をはじめ、強みとするネットワーク構築技術やシステム間データ連携に着目した独自ソリューションの提供に意欲を示す。

クラウドを選ぶ時代 ~AWS以外の選択肢~

運用フェーズで真価が分かる
Oracle Cloudの魅力


 
テクバン
後藤昌貴
事業統括本部
取締役本部長
 テクバンがクラウドビジネスを開始したのは3年半前。以来、順調にビジネスを拡大してきた。

 「現在では、クラウド自体を販売するビジネスと、それに関連した構築ビジネスを含め、会社全体の売上高の10%を占めるまでになった。当社にとって従来のSIビジネスは、大手ベンダーの協力会社という立場。一方でクラウドビジネスは、お客様と直接のビジネスになるため提案の幅も広くなる点が魅力だ」と後藤取締役は語る。

 当初はオンプレミスを提供する部隊と同じ組織でクラウドビジネスを手がけていた。クラウドサービスの提供を本格化させるため、事業統括本部内にクラウドインフラソリューション部を設置した。さらに今年は事業部に昇格させて人員も拡充。現在では技術・営業合わせて30人体制となり、ビジネス拡大に向けて攻勢をかけている。

 テクバンでは以前より、「Amazon Web Services(AWS)」や「Salesforce」など他のクラウドサービスを取り扱ってきた。新たなラインアップにOracle Cloudを加えた理由について、後藤取締役は次のように説明する。

 「AWSやSalesforceの取り扱いは正直、後発の参入でもあり他社との差異化が難しい。一方、Oracle Cloudは目新しさに加え、当社には多くのOracle DBやネットワークの技術者がいるため、クラウド環境への移行や独自サービスの提供ができると考えた。また、ベンダーとしてはライセンス(サブスクリプション)が再販できることも大きなメリットだ。ユーザーの立場からもコストメリットは大きい。それは運用フェーズになると分かる」

 システムをクラウドに移行した際には当然、データもクラウドストレージに移行される。例えば、ファイルサーバーをクラウドへ移行する際、ファイルサーバー上のファイルを、クライアントPCで開くときにアウトバウンド転送料がかかる。通常、クラウド移行を検討する場合は無料枠が数GB/月なので、アウトバウンド転送料を考慮する必要がある。しかしOracle Cloudの場合は10TB/月まで無料なので、ほぼ考慮しなくてよい。加えて、データベースなどの大規模なシステムに求められるストレージI/O性能(IOPS)もOracle Cloudは標準で高性能なディスクを提供しているが、他のクラウドサービスは、IOPSに課金される。

 「お客様との接点が増え、運用サポートへの懸念の声を聞くことも多い」と後藤取締役。コストメリットが大きいOracle Cloudを提案すれば、その分をシステム全体の運用提案に回すことができる。「24時間365日もリモートで定常監視するマネージドサービスはお客様から好評」とその効果は大きい。

 OCIの提供開始からまだ10か月ほどだが、すでに多くのユーザーからの引き合いがきている。ERPのクラウド移行や、ファイルサーバーのバックアップ、ECサービスを運用している企業といった幅広い事例があるようだ。
 

クラウドビジネスにおいて
Oracle Cloudは最優先商材


 社内ITシステムの一部ですでにAWSなどを採用している企業は少なくないが、基幹システムを担うDBのプラットフォームともなれば、話は違ってくる。Oracle Cloudのもう一つの魅力は、SaaS、PaaS、IaaSのフルサービスが揃うことだ。「一つのまとまりとしてサービスを提供できることはもちろん、サービス同士の親和性、高パフォーマンスの実現、Oracle DBの開発元としての信頼性という点でも大いに威力を発揮できるはず」と後藤取締役。

 まずは、顧客のプライベートクラウド基盤をOracle Cloudに移行させるプロジェクトを中心に手がけ、次の段階として「Oracle Integration Cloud」を活用してOracle Cloud上で複数のDB、SaaS、アプリケーションを連携させたり、Oracle DBに統合していくプロジェクトへと発展させたりすることを目指す。このほかバックアップサービスなどでも、Oracle Cloudを積極的に提案していく。

 さらに独自のサービスとして、豊富なネットワーク技術者を擁する強みを生かし、「オンプレミスとOracle Cloudへのセキュアなネットワーク環境を整備するVPN構築をセットにしたソリューションなどを拡充している」という。

 同社は今、年100人以上のペースで人員を拡大している。今年度で100億円の売り上げを達成する見込みだが、ビジネスを安定して発展させていくため、今後もストック型ビジネスへの移行に積極的に取り組む方針だ。

 「実際、クラウドサービスへの注力によって、多くの新規ユーザー獲得につながっている。魅力の多いOracle Cloudをきっかけに、運用開始後もマネージドサービスなどを絡めて、ITに関わるワンストップサービスの提供を目指す」と後藤取締役。「Oracle Cloudのサービス開始から1年で2億円の売り上げを見込んでいる。今後、クラウドビジネスにおいては、Oracle Cloudを最優先の商材と位置づけて自社の独自性の強化と成長戦略を狙う」と力を込める。