「HPE SimpliVity」は、専用ハードウェアアクセラレーターによる高速データ処理と管理のシンプルさ、エンタープライズ環境での利用を考慮した冗長性の高い設計を特徴とする次世代型HCI製品。日本ヒューレット・パッカード(HPE)が国内販売を開始したのは2017年6月と後発ながらも、爆発的に販売を拡大している。HPE、そしてディストリビューターとして主要なHCI製品を全て扱ってきたネットワールドにあらためて「HPE SimpliVity」の魅力について語ってもらった。

VMwareの管理画面で全て操作できるHCI

 「われわれのHCI製品に対するスタンスは、主要製品の全てのラインアップを取り揃えることだ。その意味からも、HPE SimpliVityのような魅力的な製品を扱わないことは考えられなかった」とネットワールドの片山大悟・SI技術本部ストレージ基盤技術部ストレージソリューション1課係長は強調する。

 もともと米シンプリビティは海外HCI市場でリーディングカンパニーとして認められるほどで、多数の導入実績もある。さらにHPEによる買収で魅力を増したHPE SimpliVityは、ネットワールドのHCIラインアップに欠かすことのできない製品だったという。

 米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)は、17年1月に米シンプリビティを買収。6月より日本国内でも販売が開始され、今年5月にはマイクロソフトの「Hyper-V」にも対応し、ユーザーの選択の幅が広がった。

 ネットワールドでも、顧客からの問い合わせは確実に増えており、他のHCI製品と比較した優位性について聞かれるという。

 片山係長はHPE SimpliVityの魅力を、「技術面では、特にGUIが完全に『VMware vCenter』の管理コンソールに統合されている点を評価している。VMwareを単体で扱ってきたユーザーは運用管理で一切、戸惑うことがない」と説明する。

 従来のHCI製品とは違い、HPE SimpliVityの管理ツールは、専用のアプリケーションを必要とせず、vCenterにプラグインを追加する方式で管理される。そのためHPE SimpliVityの導入にあたってかねてからのVMwareユーザーは、慣れ親しんだvCenterからHCI全体の管理やバックアップ、クローンの作成、スナップショットなどの操作をクリック一つで行うことができる。
 

多重障害にも対応 データロスのリスクを最小化

日本ヒューレット・パッカード
(HPE)
ハイブリッドIT事業統括
テクノロジーエバンジェリスト
小川大地氏
 「SimpliVityの先進性は販売前からの予想どおりであったが、データの壊れにくさという当たり前のことを評価いただく声が多いことに驚いている」とHPEの小川大地・テクノロジーエバンジェリストは語る。

 単体のストレージ製品ではエントリーからハイエンドまでいくつかのグレードがラインアップされる。しかしながら、HCI製品ではストレージが構成要素の一つであるにもかかわらず、ストレージのグレードが見落とされがちだ。ここにおいてHPE SimpliVityは、価格は抑えつつも他社より高めのグレードのストレージ機能・信頼性を採用している。

 「短期間の導入前検証では問題なくとも、数年間実運用すると想定外のトラブルが発生する。その最たる例が多重障害だ。HPE SimpliVityは耐障害性に強く配慮しており、多重障害でもデータを極力ロストしない構造になっている」とアピールする。

 HPE SimpliVityは他社HCIと同様にノード間でデータを複製して保持し、ノードの障害時でもサービスを継続できる仕組み(RAIN)を備えつつ、さらにハードウェアRAIDコントローラーでディスク単体の障害もカバーする(RAID)。このRAIDとRAINによる二重保護でデータロスのリスクを最小化できるのだ。さらに表面スキャン(ディスク不良セクタのエラー確認)機能で障害予兆も高度に行える。「ソフトウェアだけでHCIを実現すると、ミドルクラス以上のストレージなら当たり前の予防機能を搭載できない。HCIはエントリー領域だけでなくミドルレンジ以上の領域での採用も増えてきている。仮想化統合基盤などと呼ばれるその世界ではデータロスは絶対にあってはならないことだ」と小川氏は指摘する。

 ネットワールドの片山係長も「実際に他製品ではデータロスが発生したというケースも聞いている。その点、HPE SimpliVityはお客様へ提案する際にも、信頼性を強くアピールできる」と強調する。
 

夢のBC/DRの実現も容易 10分ごとのバックアップも可能

ネットワールド
SI技術本部
ストレージ基盤技術部
ストレージソリューション1課
係長
片山大悟氏
 HPE SimpliVityがこれまでになく画期的と言われているのがバックアップとBC(事業継続)/DR(災害復旧)運用だ。

 HPE SimpliVityでは重複排除やデータ圧縮などの処理を、FPGAで作られた専用のストレージアクセラレーターカードが担い、ストレージ利用量を大幅に削減できる。データを最小限に小さくして扱うため、遠隔地のDRサイトへのデータバックアップも短時間で転送可能だ。DRに必要な帯域も少ないため、回線コストを抑えることができる。中小企業ではなかなか手の届かなかったBCP/DR対策も夢ではない。

 「当社でも、さまざまなバックアップのケースについて検証を実施しているが、テラバイトクラスになると、もはやバックアップを取り切れないケースもある。その点、SimpliVityは容量を無駄にせず重複排除も効くことから、今後、取り切れなくなるバックアップはDRサイトに振り分けるケースが増えると思う」とネットワールドの片山係長。この強力な重複排除やデータ圧縮機能は、リストア処理でも有効に作用する。

 一般にバックアップはネットワークや容量の問題から、業務終了後の夜間に行われる。そのためデータロストした時に戻せるのは1日前のデータになるが、現実では直前まで作業していたデータを戻したいという声が圧倒的だ。

 HPEの小川氏は、「HPE SimpliVityのインテリジェントストレージはバックアップ中も性能が落ちない画期的な仕様なので、お客様には10分か20分毎に全ての仮想マシンを丸々バックアップすることをお勧めしている」という。「それでも容量を圧迫せず、リストアも一瞬だ。それを体験したお客様からは感激したという声をいただいている」とアピールする。
 

さまざまなインフラ機能を標準装備 柔軟な拡張性が提案の幅を広げる

 HPE SimpliVityは、バックアップやBC/DR対策に必要な機能が標準で備わっている。

 従来のHCI製品ではサードパーティーの外部バックアップ装置やバックアップツール、DRを行うのであればWAN回線の圧縮転送装置なども必要になるが、HPE SimpliVityではこれらについて専用装置やソフトウェアを追加購入する必要がない。このため導入コストや運用管理コスト、設置スペース、消費電力などさまざまな点でTCOを大幅削減できる。

 拡張性においても、最小構成の2ノード構成では高価な10Gスイッチは必要なく、そこから最大32ノードまで無停止でシームレスにスケールアウトすることができる。また、重複排除効果でストレージ容量に余裕がありつつも、コンピュートリソースが不足しているような場合は一般的なx86サーバーをコンピュートノードとして継ぎ足せる機能があり、これによってCPUやメモリーリソースの不足を非常に安価に補うことができる。

 「拡張時の選択肢が様々あるのは、スモールスタートや小規模のお客様に特に受けがいい」とHPEの小川氏。ネットワールドの片山係長も、「最小の2ノード構成でも信頼性は最高レベル。しかも、コンピュートリソースだけを追加できる機能は珍しく、提案の幅もかなり広がる」と評価する。

 さらに近々、「Nimble Storage」で大人気のクラウドベースの運用・監視機能「InfoSight」がHPE SimpliVityにも対応する予定だ。これにより製品の信頼性をさらに高め、ユーザーの運用負荷を大幅に軽減することが可能になる。

 HPEの小川氏は、「ネットワールドのストレージに対する技術力・検証内容は、われわれの期待値を常に上回っている」と力を込めて語る。「Nimble Storageを早くから取り扱い、HPE SimpliVityに組み合わせたサーバー、ストレージ、ネットワークの3層構造での販売もできる。また、InfoSightにも高い見識を持っている。HPE製品の品揃えと、ネットワールドの高い技術を活かした組み合わせによるソリューション提案でも、ぜひ、アグレッシブに取り組んでくれることを期待している」。

編集長の眼

 HCI市場は、市場の立ち上げをけん引したパイオニア企業が大きな存在感を保ち続けている一方で、後発ベンダーも急速にビジネスを成長させており、サーバーメーカーやストレージメーカーを巻き込んで、まさに「活況を呈している」といっていい状況だ。用途もさまざまに広がってきている。

 グローバルでトップベンダーの一社だったシンプリビティも、日本市場についてはHPE傘下入り後の参入となり最後発に近い。それでも、HPEの体力とパートナーエコシステムをフルに生かした販売体制で、国内の有力パートナーが積極的に顧客に提案している印象だ。

 ネットワールドはその一社であるわけだが、「主要HCI製品は全て取り扱う体制を整える」という方針に、VAD(付加価値ディストリビューター)としてのプライドと貪欲さが滲む。ニュートラルな立場で目利きをしてくれる、技術力のあるパートナーがいてこそ、鎬を削る各ベンダーの固有の価値が正しくユーザーに伝わり、HCI市場の基盤は強固になっていくのだろう。