日本ヒューレット・パッカード(HPE)のオールフラッシュストレージ「HPE Nimble Storage」は、独自ファイルシステム「CASL」や先進の管理機能「InfoSight」を使用することで、低コストながらハイパフォーマンスを実現するミッドレンジ向け製品。2017年11月に米ニンブルストレージがHPE傘下となったことでブランド力も大幅に向上した。「HPEブランドになり、問い合わせは一気に数倍に増えた。今後は、HPE ProLiantとNimble、VMwareに当社の構築サービスを加えた仮想化パッケージの提供も検討している」とネットワールドはアピールする。

容易な運用、障害を未然検知 管理ツール「InfoSight」

 ネットワールドがディストリビューターとして正式にNimble Storageの取り扱いを開始したのは16年1月。だが、その数年前より検証機を使った評価を実施するなど、早くからNimble Storageを扱ってきた国内の“老舗”だ。

 「当社は、数多くのストレージ製品を取り扱っているが、検証機で評価していた当時から、Nimble Storageの扱いやすさは大きな強みだと感じていた」とネットワールドの長谷部浩生・SI技術本部ストレージ基盤技術部1課係長は振り返る。

 扱いやすさの理由の一つが、製品を構成する部材が少ない点だ。保守における交換部材は、基本的に個々のパーツではなくユニットの交換で対応できるため、スピーディな対応を可能にしている。さらに、クラウドベースの運用・監視機能であるInfoSightの存在が、サポート保守においてHPE Nimble Storageをより魅力的な製品としている。

 「キーワードは、IoT、ビッグデータ、AIの三つ。ストレージの運用管理にインテリジェンスをもたらすことができる」と日本HPEの高野勝・ハイブリッドIT事業統括データプラットフォーム統括本部エバンジェリストはアピールする。

 
忍ブルくん
 HPE Nimble Storageはグローバルで1万社以上のユーザーをもつ。InfoSightは、全世界のNimble Storageの稼働データ(ログ)を、IoT機能により5分ごとに取得してクラウドへ転送・収集している。1日当たり3000万を超えるビッグデータはAI機能によって顧客ごとに集計・分析し、レポートとして提供してくれる。

 「InfoSightはモニタリング機能も充実し、しっかりと可視化されている。例えば、遅延が発生した場合、ホスト/ネットワーク/ストレージに細分化して色分けして表示してくれるので、問題点を明確に判断できる。自社でもNimble Storageを利用しているが、障害が発生し、ケースがオープンした際は、状況把握、障害切り分けがすでに終わっているため非常に解決が速かった」とネットワールドの長谷部係長は説明する。
 

AIが問題を予測し、プロアクティブ対応が可能

 InfoSightの特徴は、業界初の“AIレコメンデーションエンジン”にある。ストレージからアプリケーションに至るまでの問題を予測することで、ユーザーのプロアクティブな対応を可能にする。

 「パフォーマンスや容量に関する詳細な状況の確認はもちろん、AIレコメンデーションエンジンによって、過去のストレージの利用状況やナレッジを踏まえた予測ができる。これにより予兆段階でいち早くトラブルを検知することが可能になる。また、容量やパフォーマンスの増強が必要になったりする場合も、それを事前にレコメンドしてくれるので、常に最適な投資が行える」と高野エバンジェリスト。

 内部サポートでも、一次(L1)、二次(L2)対応に相当する部分は、InfoSightが済ませているため、人の対応はL3の高度なエンジニアが担う分だけでよい。これにより他の環境なら数日は掛かっていたであろう対応時間が、InfoSightによる実績値ベースで平均42分で済むという。

 また、最近の複数システムが統合された環境では、データを提供するストレージとそれを処理するアプリケーションデザインとのギャップから、業務の中断や遅延が生じるという状況が多く発生しがちだ。この状況に対してもInfoSightは、ストレージと仮想マシン間に存在するパフォーマンスの問題を解析して、その原因は何かといったポイントまでをドリルダウンして、システム部門に提示してくれる。
 

99.9999%の高可用性を保証するSLAを標準で提供

日本ヒューレット・パッカード
(HPE)
ハイブリッドIT事業統括
データプラットフォーム統括本部
エバンジェリスト
高野 勝氏
 InfoSightと製品自体が備える高い信頼性に裏打ちされ、HPEでは、HPE Nimble Storage全製品に対して高可用性を保証するSLA契約を標準で提供している。99.9999%という年間ダウンタイムで約31秒を超えた場合、保守料金の返還などを行うというものだ。

 「HPE Nimble Storageは理論値をベースに主張している他社と異なり、InfoSightなどの活用によって実績値で99.999928%という高可用性を達成している。ここまでコミットできるベンダーは他にないと評価している」とネットワールドの長谷部係長は強調する。

 HPEでは、InfoSightを他のHPE製品にも順次適用を拡大していく計画だ。すでに上位向けストレージ製品の「HPE 3PAR」については17年12月に対応を終えている。

 「HCI製品の『HPE SimpliVity』もこの数か月のうちには対応していく予定だ。さらに、サーバー製品の『HPE ProLiant』への対応も計画している。一連の製品に適用を拡大することより、システム全体を横串にした障害や問題の事前予知が可能になる。その先には、自律型データセンターの実現を視野に入れている」と高野エバンジェリストは展望を語る。
 

高パフォーマンスを実現する 独自の特許技術「CASL」

ネットワールド
SI技術本部
ストレージ基盤技術部
ストレージソリューション1課
係長
長谷部浩生氏
 HPE Nimble Storageは高性能も大きな特徴だ。次世代テクノロジーのStorage Class Memory(SCM)とNVMeの活用を前提に設計されており、加えて独自の特許技術「CASL(Cache Accelerated Sequential Layout)」を搭載。CASLでは、圧縮しながら効率的にディスクに書き込み、フラッシュメモリ(SSD)をリードキャッシュとして利用することで高いパフォーマンスを実現する。ランダムアクセスをなくすことで、ハイブリッドストレージでもオールフラッシュと同等の性能を達成できる。ディスク当たりのIOPSは、他社製品との比較で10倍以上になるという。

 HPE Nimble Storageは、オールフラッシュアレイの「AFシリーズ」とハイブリッドフラッシュアレイの「HFシリーズ」(CSシリーズの後継)の2シリーズをラインアップする。

 「AFシリーズは、データベース系のIOPSを要求するワークロードへの適用や高い信頼性を求められる業務での採用が多い。一方のHFシリーズは、VDI環境への適応をはじめコストパフォーマンスの高さを評価しての採用が多い。台数ではこちらが中心になり、必要なパフォーマンスが予測しやすいワークロードでの用途に向いている。いずれにしても細かなシステム設計が不要で、製品選択は必要なIOPSと容量で選ぶだけで済むので、とてもシンプルだ」とネットワールドの長谷部係長。

 また、AFシリーズは業界最高レベルの容量効率を実現していることの裏付けとして、「HPE Store More Guarantee」プログラムを提供する。同プログラムは、他社のオールフラッシュストレージを上回るテラバイトあたりの有効容量を実現できない場合は、その差額分をディスカウントで対応するというものだ。

 「HPE Nimble Storageは、最小限のオーバーヘッドや重複排除などの優れたデータ削減機能によりデータを効率よく保存できる。ユーザーにとって、重複排除率や圧縮率といったカタログ値のデータ削減率は真の価値ではない。実際に支払った金額に対する実効容量こそが重要だ」と高野エバンジェリストは話す。

 一方、HFシリーズでは、従来の圧縮機能に加えて新たにインライン重複排除機能をサポートした。これによりハイブリッドモデルでも30%程度までデータ圧縮ができ、さらなるデータの効率化が可能だとしている
 

HPEブランドで問い合わせが急増 仮想化パッケージの販売も検討する

 このように、ストレージ製品として非常に魅力の高いHPE Nimble Storageだが、以前は知る人ぞ知る製品だったという。

 「その状況を大きく変えたのが、17年11月に正式にHPE傘下になったこと。ブランド力が大幅に向上した。以前であれば、自らユーザーやパートナーにアプローチしなければならなかったが、HPEブランドになってからは、問い合わせが一気に数倍に増えた。一方、われわれがHPEに問い合わせる際にも、レスポンスが早く親身になって対応してくれる」とネットワールドの長谷部係長。

 ユーザーからの評価として多いのが、パフォーマンスと導入や設定の容易さだ。ネットワールドではユーザーやパートナー向けにハンズオンなどを開催しているが、設定方法や認定資格対策もまず1回の受講でマスターできるという。

 「すでに、HPE Nimble Storageについては『忍ブルくん』をキャラクターに販売キャンペーンを実施している。今後はさらに、HPE ProLiantとNimble、VMwareを加えた仮想化パッケージ製品の販売も検討している。これに当社の構築サービスを加えて提供していきたい」と長谷部係長は抱負を語る。

編集長の眼

 IoT、ビッグデータ、AIは、いまやバズワードの域を越え、現実のITソリューションに落とし込み、社会システムやビジネス基盤に実装していくフェーズに入っている。Nimble StorageのInfoSightは、ハードウェアメーカーがこれを先取りして実践した事例であり、彼らのビジネスを支える基盤としてしっかり機能し、成果を出しているのが興味深い。InfoSightで収集・分析したデータを根拠に稼働率99.9999%というSLAを標準で提供し、これを下回った場合は保守料金の返還などを行うという考え方は、クラウドネイティブ時代のハードウェアビジネスといえるのかもしれない。

 VADとして多くのハードウェアを深く研究してきたネットワールドだからこそ、その価値に対する評価は高い。同社からは「ProLiantとNimble、VMwareを加えた仮想化パッケージ製品の販売も検討している」とのコメントも聞かれたが、まさにVADの面目躍如。ハードウェアだけでなく、ヴイエムウェア製品に関するノウハウ、技術力も強みにしていることが、NimbleやInfoSightの価値をさらに高める商材づくりにつながる。