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<IDCフロンティア 対談 ユニアデックス>インフラとソリューションサービスの一体化で システムの全体最適化を実現

2021/03/04 09:00

週刊BCN 2021年03月01日vol.1864掲載


 コロナ禍で場所に依存しない働き方を求められた企業は、システムのクラウド化を加速している。一方で、クラウド化に向けた課題も少なくない。IDCフロンティア(IDCF)とユニアデックスは、2020年2月にクラウドビジネスで協業、従来のベンダーと一味違うサービスを提供していく方針だ。IDCFのプライベートクラウドの魅力、協業によって実現するユーザーへのメリットについて、対談形式で語ってもらった。

エンタープライズ層に向け
ワンストップサービスを提供

――システムのクラウド移行が加速する一方で、課題を持つ企業も少なくないようですが。

早川 企業の「クラウド化」は二つのケースに分けられます。クラウドサービスの普及前から存在する企業と、その後に登場したスタートアップ系の企業です。後者は、ゼロスタートでクラウドが前提で適応は容易です。一方、前者は既存のオンプレシステムをクラウド化するのでハードルは高い。また、クラウドサービスプロバイダーが提供するサービスの利点と、企業の需要との間のギャップによりクラウド化できない企業もある。メガプロバイダーのクラウドは十分な「解」を提供していないため、その解を提供するベンダーが求められています。
 
IDCフロンティア 営業本部プロダクト企画部
早川礼真 氏

松隈 従来型ITは、堅牢性や高可用性を基本に設計・構築されています。これをクラウド化するニーズと、メガクラウドサービスの俊敏性、変化への柔軟性などの特性はうまくマッチしない部分がある。しかし、クラウドのメリットを生かしてビジネスを変革しなければ、スタートアップ系に太刀打ちできなくなる。オンプレとクラウドを共存させ、効率良く運用するソリューションが必要とされています。
 
ユニアデックス エクセレントサービス第1本部
テクニカルサポートセンター 上席スペシャリスト
松隈基至 氏

――両社がクラウドビジネスで協業された理由は。

早川 当社は、データセンター(DC)事業者としてオンプレの延長でビジネス展開してきましたが、プラットフォームのみではビジネスレイヤーの解にはなりません。その上で稼働する業務の建て付けはSIerの方々にお願いしますが、毎回、異なるSIerと組んでいてはシステムの上下(ソリューションサービス/インフラ)が分離しがちです。ユニアデックスさんはお客様のビジネス課題に深い知見を持ち、マルチベンダーの混在環境に豊富なノウハウがある。そこでパートナーになっていただきました。
 
松隈 当社はオンプレ中心のビジネスを展開してきましたが、お客様の課題としてよく聞くのがIT基盤の運用管理に負担を感じるという声です。その解決に向けたサービスを提供する上で、複数のクラウド事業者を比較しました。IDCFさんは、VMwareの先進的な技術をいち早く採用してクラウド基盤を長年提供しており、DC事業者でもある。さらに、ラックハウジングやクラウドまわりの豊富なサービス間を大容量なバックボーンネットワークを活用した「バーチャルブリッジ」というサービスでシームレスにつなぐことができ、ホステッド・プライベートクラウドとラックハウジングを組み合わせた柔軟なシステム構成を組める点が大きな魅力でした。
 
江橋 以前は、毎回異なるSIerの方と組み、上下を個々に提案していました。しかし、それではインフラ要件のナレッジにとどまり、お客様に寄り添った一歩踏み込んだ提案が行えないため、ニーズにお応えできていないという悩みがありました。両社の協業で、上下一体化のシステムを提案し、全体最適化が実現できると期待しています。
 
IDCフロンティア 営業本部営業推進部
江橋佳太 氏

松隈 元々、IDCFさんは当社のお客様であり、協業がスタートして定例会で提供するサービスについて詰めてきました。当社は、設立時からマルチベンダー・ワンストップサービスを提供していますが、この協業でも、システムのシームレスな運用・保守をワンストップで提供することを目指しています。
 

仮想と物理の併用が前提
独自のサービスを共同開発する

――協業が生み出す効果はいかがでしょうか。

松隈 お客様をIT基盤運用の負担から解放します。クラウドに移行される際、リースが残っているハードウェア資産も活用したい、移行時のダウンタイムを抑えたい、コストを削減したいなどのニーズは多様ですが、それぞれのお客様に合った移行方法や運用サービスが提供できると思います。
早川 お客様にとって、痛みの少ないクラウド化を実現します。また、移行後にその基盤で動くネイティブな独自のアプリケーションについても、共同開発して提供したいと思います。

――検討している具体的なサービスがあれば教えてください。

早川 例えば、小規模なコンテナサービスの提供を考えています。新しい技術を手持ちのリソースで気軽に試してみたいというニーズにお応えします。

松隈 検討しているのはバックアップ、セキュリティ、認証などのサービスです。お客様がオンプレ環境で行っていることをクラウドでも提供し、安心して移行できる環境を実現します。
 
 
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外部リンク

IDCフロンティア=https://www.idcf.jp/