三谷産業が開発し、2020年6月に開始したクラウド連携サービス「Chalaza(カラザ)」に対応したサービスの件数が2021年3月末に100を突破した。過去半世紀以上にわたり、情報システム関連事業を通じて、日本企業のIT活用を支援してきた同社が、「Chalaza」を提供する理由や、汎用EAIツールとの違い、今後のビジョンについて、三谷忠照代表取締役社長に話を聞いた。

顧客の「これがほしい」から
背後にある真の課題を探る

 「お客様の『これがほしい』をそのまま売るのではなく、その言葉の背景にある課題は何かというところまで踏み込んで、それを解決できる提案をする。これは、当社の創業以来、遺伝子のように受け継がれてきた思想だ。情報システム事業で提供する商材やサービスは、時代とともに変わってきたが、その思想は変わらない」と三谷社長は話す。三谷産業の創業家に生まれ、大学卒業後にはベンチャーキャピタルでの海外勤務などを経て、17年に同社の代表取締役社長に就任した。
 
三谷忠照
代表取締役社長

 三谷産業は、1928年に石炭の卸売業として石川県で創業。現在は、化学品、樹脂・エレクトロニクス、エネルギー、住宅設備機器、空調設備工事など、広範なセグメントで事業を展開する総合商社となっている。66年に富士通のコンピューター販売を手がけたことをルーツとする情報システム事業は、半世紀の間に発展を遂げ、同社の主力セグメントの一つとなっている。

 企業においてクラウドサービスが本格的に活用され始めた現在、同社が開発、提供を行う「Chalaza」は、これまで初期開発や運用のコストが膨らみがちだったクラウドサービス間の連携を、ノンコーディングかつメンテナンス不要で実現するサービスとなっている。

 三谷社長は、「クラウドは、一つの大きな入道雲のようなイメージで表されることが多いが、実際には、それぞれに強みを持った企業が、特徴のある小さなサービスを多数展開している、いわば“いわし雲”のような状態。その中には、うまく組み合わせて使うことで、お客様の課題解決に資するものが必ずある。Chalazaは、そうしたクラウドの組み合わせによる価値の創出を、手間と時間をかけずに実現するための基盤となるサービスだ」と強調する。
 

1万円/月の料金設定で
SIのビジネスモデルを変える

 従来、システム連携にあたってはEAI(Enterprise Application Integration)ツールなどを用いて、連携したいアプリケーション用のデータアダプターを、個別に作り込むというのが定番の手法だった。しかし、特にクラウド時代において、このやり方には課題も生まれている。連携したいサービスの数が増えれば、開発するアダプターの数も増える。また、サービス側の仕様変更に伴う改修なども考慮する必要がある。これらを含めると、従来のサービス連携では、コスト的に「手軽にできる」ものとはなりにくい。

 Chalazaは、多様なクラウドサービス向けのアダプター開発とその保守を三谷産業が一手に引き受ける。利用者側では対応サービスの中から連携したいものを選択し、簡単な設定のみで利用を開始できる。開発自由度の面では、汎用的なEAIツールに譲るが、その分、連携にかかる手間とコストは圧倒的に低く抑えられる。Chalazaの利用料は、連携サービス1件につき月額1万円からに設定されている。

 「日本企業のIT活用において、専門性が高いパートナーとしてのSI事業者、ITベンダーが果たす役割は依然大きい。お客様の真の課題を捉えて、クラウドを活用した業務の効率化、あるいはその先にあるデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援していくにあたり、バックエンドでの作業に工数をかけず、お客様により高い価値を感じてもらうための仕事に注力できる環境を作るために、Chalazaを活用してほしい」としている。

目標はクラウド連携で
価値を生むための「標準ツール」

 Chalazaのリリースは20年6月。対応する連携サービスは、急ピッチで拡充が続けられており、21年3月末には100を超えた。Microsoft 365やSalesforceといった海外メガクラウドベンダーのサービスだけでなく、国産の業務アプリケーション、経費精算、BIツール、OCR、顔認証といった幅広いサービスとの連携が既に可能になっている。

 三谷社長は、「顔認証と勤怠管理の連携による出退勤管理の自動化、OCRと販売管理を連携した注文書のシステムへの自動入力など、お客様のニーズを聞いて対応サービスを広げる中で、連携による新しい価値が次々と生まれている。『こんな連携がしたい』というニーズがあれば、ぜひ声をかけてほしい。すぐにうかがって、Chalazaでできることを一緒に考えたい」という。

 Chalazaが目指すのは、今後ますますニーズが高まると見込まれるクラウド連携における「標準」としての位置づけだ。

 「例えば、清水建設様には、同社の建物向けOSである『DX-Core』において、外部サービスと連携するためのツールとしてChalazaを採用していただいた。スマートビルディングの実現にあたり、Chalazaを使って、DX-CoreをソフトウェアやIoTデバイスと接続することで、建物を運用するプロセスのDXを推進しようとされている。こうした環境でChalazaを活用するのは、コンピューターでいえば、周辺機器の接続インターフェースにUSBを採用するのに近い。USBの登場でコンピューターは圧倒的に簡単に、便利になった。これから先、クラウドサービス同士を連携させることの価値は一層高まっていく。その中でChalazaは、クラウド間の接続や連携を実現するツールとして、業界標準を目指していきたい」と三谷社長は展望する。

※FaaSインテグレーターChalazaは三谷産業株式会社の登録商標です。