会計パッケージの専業メーカーであるエス・エス・ジェイは、「SuperStream─NX」で年商50億円から1000億円規模の企業にまで顧客の対象を拡大した。SOAの採用や完全Web対応などが特徴で、OEMやSaaS、エンジン提供など、提供形式が豊富なのも従来からの大きな変更点だ。一方で、大幅な組織変更を実施して販売体制の強化を急ぐほか、パートナー企業との関係強化、新規開拓にも余念がない。
グループの販売センターを担う
──キヤノングループの一員としての役割はどのようにお考えですか。
谷本 キヤノンITソリューションズの役員を兼務していますが、その立場から見てもエス・エス・ジェイ(SSJ)は非常に面白い会社だと思います。5400社ものお客様と、70社以上のパートナー企業を抱えているという財産は非常に大きいですよ。「Super Stream」というブランドと商品、パートナーを生かせば、いろんなことができます。
グループということで考えると、もっているソリューションがたくさんある。それに、キヤノンはチャネル戦略に非常に長けています。キヤノンITソリューションズはそれがまだまだ苦手な会社です。そこで、パートナーを通じてキヤノンのもっている商品を同じように販売していただくことも可能なんじゃないか、と。SSJを通じてパートナーにも売っていただくわけです。
SSJには、「Super Stream」という非常に特化した商材がありますが、それ以外の商材も含めてプロダクトセンター、販売センターという位置づけもあるだろうと思っています。そういう意味ではキヤノンの傘下で十分やっていけますし、キヤノンからみたら販売面で非常にありがたい会社ではないでしょうか。
──合併してこられた経緯をみると、これまでにはすでにSAPやオラクルのパッケージと金融向けのソリューションがあり、このほかにはいらないのではという声がありましたが…。
谷本 キヤノングループの一員として、自前のソリューションには結構なこだわりがあります。親会社のキヤノンITソリューションズは、生産管理の自前のパッケージをもっています。もう少しうまく融合すれば、また別の見方もできる。そういった事情も勘案して、10月に組織を一部変更しています。「Super Stream」の開発部隊をキヤノンITソリューションズにもっていってしまったんです。一方SSJは、パートナーとの関係づくりや販売に特化するような形にしました。
キヤノンITソリューションズには4000名の人員がいて、そのなかに開発部隊がいくつもありますから、SSJにいた開発部隊と融合させて、もっと開発のパワーを引き上げたいという思惑がありました。
──「SuperStream-NX」は売り手にとってどのようなメリットがありますか。
谷本 従来のERPのパッケージは、見た目も含めて意外と使いづらいんですよね。それが今回のNXは「Silver light」の採用で、見た目も操作性も非常に良くなったと考えています。特徴の一つは、やはりSOAです。サービスレベルできちんと抜き出せるので、お客様がお持ちのソリューションとパートナーのソリューションを自由に組み合わせていただける、というのが大きな売りです。
──新製品の「SuperStream-NX」は、従来と大分変わったと思います。キヤノン全体としての融合性を含めて、どのようにお考えですか。
谷本 従来とは少し異なるエリアまで広げていこうとしています。お客様の層は、これまでは年商300億円から500億円くらいの企業を得意領域としていましたが、それを50億円くらいから1000億円くらいまで広げていこう、と。販売の形態も従来のパッケージ単体の小売りから、エンジンとして使っていただいたり、SaaSというサービスの形で提供したり、拡大していこうと考えています。
──年商50億円から1000億円の企業が対象となると、競合が増えてきますね。
谷本 SSJにはパートナーという宝がありますから、どう売っていくか、来年早々から取り組んでいきますよ。こんな言い方が適当かわかりませんが、「SuperStream」のパートナーは本当に優秀です。中小企業を得意とするセクションときちんと手を組んでいきたいと考えています。今年の3月から社長職に就いていますが、70社のパートナーをひと通り訪問しました。それぞれの得意な領域を議論し、深掘りするようなことをしていきたいですね。
キヤノンの傘下で十分やっていけますし、キヤノンからみたら販売面で非常にありがたい会社ではないでしょうか。
[次のページ]