日本のSIerで最も大規模に海外進出を推し進めるNTTデータ。国内市場が伸び悩むなか、成長余地を海外へ求める。今、製造・流通業をはじめとする大手ユーザー企業は、中国など新興国市場の開拓を加速。クラウド・コンピューティングは国境を越えてITリソースを集中化させる。もはや従来型の受託ソフト開発だけでは通用しない。SI業界のリーダーは、どこに向かおうとしているのか。山下徹社長に聞いた。
現場はずいぶん融合している
──海外SIerのM&A(企業の合併と買収)を加速させていますが、勝算があってのことでしょうね。国内SIerで御社ほど矢継ぎ早にM&Aを仕掛けている会社はほかに見当たりません。少々先走りしすぎている気もしますが……。
山下 まさに走りながら考えている状況ですよ。2008年9月のリーマン・ショック以降、急遽、中期経営計画を練り直して社内組織も変えました。海外のM&Aも同時並行で進めている状態です。勝算があるかないかと聞かれれば、あります。いや、正確に言えば、グローバルで勝てなければ顧客企業から見放され、市場から淘汰されてしまう。勝つか負けるかではなく、世界に出て行かなければ生き残れない。
──社内組織も大きく変わりましたね。
山下 会社を大きく三つの社内カンパニーに区分しました。2009年7月からは国内メインのカンパニーと、グローバルを主軸とするカンパニー、この二つを技術基盤担当のカンパニーが支えるという構造です。
──公共・金融は国内市場メインで、製造・流通などはグローバル市場に軸足を置くということですか。
山下 そうです。おおかたの予想通り国内のIT投資は大きくしぼみました。世界をみると、先進国の市場が伸び悩むなか、相対的に新興国の成長が目立つようになるなど、ずいぶんと景色が変わりましたよね。将来的には、このような市場環境になるのでしょうが、ずいぶんと動きが前倒しになった。
ただ、当社自身が何か強みや特徴をもたないと、海外ビジネスは立ち上げにくい。当社は08年、ドイツの有力SIerのアイテリジェンスとサークエントをグループに迎え入れていますが、いずれもERPのSAPに強い。09年8月には、オーストラリアのSAPゴールドパートナーのSIerをグループ化。欧米・豪州地域ではSAPの軸をもつことで、ビジネス拡大の足がかりにします。
──そこのところをもう少し具体的にお話しいただけますか。
山下 そうですね。09年末に、マレーシアに出張に行った時、そこでSAPのサポートをしていたのは、たまたまドイツから来ているSEだったのですよ。彼はドイツ企業のSAPをサポートしているのですが、実は日系企業にもSAPの機能追加や導入展開の提案を盛んに行っています。いわゆるクロスセルで、私が現地の日系企業を訪問するときも、ずっと同行して提案活動に余念がない。
マレーシアのあるチームでは、SAPコンサルティングのトップがドイツ人、営業トップが日本人、プログラミングはマレーシア人で、会議では英語オンリー。私はそれほど英語が得意でないので、ついていくのがやっとでしたよ(笑)。その足でシンガポールに行ったのですが、ここではオーストラリアの顧客をシンガポールの拠点でサポート。社長の私が言うのも変ですが、現場はずいぶん融合している。仕組みさえしっかりつくれば、あとは現場が率先してビジネスを拡大させる。
勝つか負けるかではなく、世界に出て行かなければ生き残れない。
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