丸紅情報システムズは、同社が経営指標とする税引前利益を高い水準に引き上げるため、2009年度に中期3か年計画「Pi11(PLAN“INFINITY”2011)」を策定した。2010年度は中間の年に当たる。プロダクト関連の事業は高い伸びを示したものの、依然先行き不透明のITサービス事業で苦戦を強いられている。計画達成に向けた戦略を聞いた。
組織再編で安定収益基盤構築
──2010年度(11年3月期)は、御社の中期3か年計画である「Pi11」の2年目に当たります。3か年計画で目指す目標を教えてください。
小川 当社は、税引前利益を経営指標にしています。その税引前利益を3年間で伸ばし続けて、高い水準に引き上げることを目標にしています。3か年計画の初年度(09年度)の数字は前年度の18億円を超える目標値を設定するつもりだったのですが、計画策定中にリーマン・ショックが起きてしまいました。だからといって最終年度にあたる11年度の目標数値は変えませんが、スタートの09年度に目標が達成できなければ、社員の士気が落ちる恐れがある。そこで、あえて、いったん保守的な目標を立てて身を縮めることにし、そこからV字回復しようという方針に切り替えたのです。ところが、09年度、全社員の踏ん張りによって、期待以上の数字を残すことができました。10年度も、ほぼ計画通りの数字を達成する見込みです。
──景気は底を打ったといわれているものの、依然、IT市場は厳しいとの声があります。期待以上に伸びたとのことですが、その成長のエンジンとなったのは?
小川 市場調査会社の報告によると、ハードウェア、ソフトウェアを中心としたプロダクトがプラス成長に転じ、復調し始めていますが、ITサービス市場は先行き不透明のままです。この傾向は、当社の業績にもあてはまります。当社の場合は、ハードウェアといってもデータセンター向けのストレージやサーバーに限らず、製造業向けの計測システムや3次元造形装置が伸びています。一方で、ITサービス関連事業は回復に至っていません。そこで、2010年度中に大がかりな組織再編を行い、2011年に向けて体制を再構築しています。
──具体的にどのような再編を行ったのですか。
小川 当社は、ハードウェアやセキュリティをはじめとするソフトウェアプロダクトの販売を手がける「プラットフォーム&ネットワーク(P&N)事業本部」「製造ソリューション本部」、データセンターの保守・運用を行う「ビジネスサービス(BS)事業本部」、システム構築部隊である「エンタープライズソリューション(ES)事業本部」という四つの事業本部でビジネスを展開しています。この体制について、2010年度の期初に大きな組織変革を行いました。P&N事業本部でコールセンターシステムを担当する部隊をBS事業本部に異動させたのが第1段階。さらにそれを走らせながら、BS事業本部の一つの部をES事業本部に異動させたという二段階の組織再編を行いました。10月には、BS事業本部の一部隊をES事業部隊に編入して体制を整えました。フラットな組織にすることで、効率的な運営を図り、安定的な収益体制・基盤を構築するのが狙いです。
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