中計250億円目指す
──文教分野では、財務会計でシェアトップとのことですが、公共分野での実績も教えてください。
武本 財務会計をはじめとして、施設予約も主に西日本を中心に、採用実績が積みあがってきています。施設予約向けパッケージは、昨年、大きな注文を成約しました。他社と比べて、圧倒的に使いやすいことが採用の決め手となりました。今後、関東を含め、全国ベースで力を入れていくために組織を集約しました。文教市場については、財務会計だけでなく、映像関連のシステムなど、さまざまな教育システムを手がけた実績を横展開していきたいと考えています。文教マーケットをさらに深耕することで、この分野で一番になりたい。大手ベンダーにも勝った実績があるので、トップを取れると踏んでいます。
もう一つの健康保険組合向けのパッケージは約50団体、100拠点超に採用されています。全国にはおよそ700から800団体の健康保険組合がありますが、まず、そのうち100団体での導入を目指します。パッケージもありますし、アウトソーシングで保険証の発行もできるのが強みです。
──昨年DB統合型のERP「GrowOne Cube」を発表し、他のパッケージも「GrowOne」ブランドに統一していますが、今年、とりわけ力を入れるのはどんな製品ですか。
武本 今年、伸ばしたいと考えているのは、SAPの産業装置製造、金属部品加工、自動車部品製造、建設業種向けに特化したテンプレート「GrowOne Comp.」です。この引き合いが非常に増えてきて、実績も出始めました。対象となる顧客は中堅の上の層で、年商500億円以上。上場企業も多いので、1件あたり億円単位のビジネスになります。
──これまでは、中小企業が御社のメインターゲットだったとうかがっていますが、今後は上の層のマーケットにもすそ野を広げるのですね。事業の柱にするために、テンプレートの製品群を拡充していく計画は?
武本 成長していくためには、中堅でも上位レイヤーにもチャレンジしなければなりません。テンプレートについては、ただ広げればいいわけではありません。それなりの技術者が必要ですので、足元を見ながら事業を展開する必要があります。一方で、海外でのビジネス展開も進めています。当面は中国になりますが。現地のSIerにテンプレートのライセンスを提供して、技術支援を行います。
──今後は海外展開を積極的に推進するということですね。
武本 まずは実績を早くつくることですね。一度経験するとノウハウが蓄積されます。2011年度は、新しい中期経営計画「Change & Challenge To 250」のスタート年にあたります。これまで売上高200億円前後を推移していたのですが、最終年度の2013年3月期には、250億円の売上目標を掲げています。SAPビジネスを柱の一つに仕立てれば、目標達成は難しくないと考えています。
・こだわりの鞄 若い頃は鞄を持ち歩いたことがないという武本社長。この鞄は4~5年前、誕生日プレゼントとして、お嬢さんから贈られたものだそうだ。ブランドはわからないという。普段、書類や単行本を鞄に入れて持ち歩き、電車の中で読んでいるのだとか。
眼光紙背 ~取材を終えて~
少し訛りが入っていて、豪快な九州男児といった印象を受ける。日立製作所では金融分野から、コンシューマ事業、そしてニッセイコムへ。ヘミングウェイが好きな文系出身で、技術畑を歩いてきた現会長の横山茂郎氏とは雰囲気が180度異なる。若い頃、鞄を持ち歩かなかったというのも、豪快な様子を物語っている。「横さんのように上品じゃないからなあ」と笑う。
「(ニッセイコムは)明るい会社なので水が合う。だけど、いい意味での図々しさがほしい」と語る。モノ言う営業担当者、技術者になって、顧客にありがとうと感謝されるようになれ、と社員に話している。「もし、ありがとうと言われる仕事ができたなら、感謝状をもらってこい、と言っている。それが本人のやる気にもつながる。俺は若い頃、自分から感謝状をください、と言っていた」。豪快な武本社長の下、誠実ながら“図々しい”ニッセイコムに変身しようとしている。(環)
プロフィール
武本 秀徳
(たけもと ひでのり)1950年、佐賀県生まれ。68年4月、日立製作所入社。01年、金融システム営業統括本部金融システム第二営業本部長。03年、情報・通信グループ金融第二事業部長。06年、同グループゼネラルマーケティングビジネス統括本部長。08年、コンシューマ事業マーケティング事業部事業主管を経て、09年、日立コンシューマ・マーケティング取締役。10年4月、ニッセイコム取締役に就き、同年6月、取締役社長に就任。
会社紹介
機械式駐車設備などを手がける日精の子会社「日精ソフトウェアセンター」として1974年に設立。80年に日精コンピュータと改称後、日立製作所の販売会社としてスタート。オフコン時代から中堅・中小向けのカスタムソフトを開発している。業種特化型パッケージを得意とし、そのほかASPサービス、ハード販売などを手がける。