アクセンチュアは、2011年8月、東日本大震災の復興支援を目的として、会津若松市に福島イノベーションセンターを設置した。この動きを主導したのが、センター長を務める中村彰二朗氏だ。会津若松市、会津大学と同社は、復興だけでなく、その後を見据えた協定を結び、会津若松市はいまやスマートシティの先進自治体となった。ブレーンとして会津若松市を支える中村氏に、会津の地でスマートシティの取り組みを進めることの意義についてたずねた。
復興フェーズがようやくみえてきた
──東日本大震災から3年、福島イノベーションセンターの設置からおよそ2年半が経過しました。福島の現状についてどうみておられますか。 中村 われわれが復興支援の拠点を会津若松市に置いたのは、日本初のIT専門大学である会津大学の存在も大きかったのですが、津波だけでなく原発事故の影響もあって、浜通りの復旧には時間がかかるので、その後の復興のための準備を会津でやっておこうと考えたからです。これまでは、スマートシティのモデルなどをつくっても、現地がそれを受け入れる状況になかったわけですが、ここにきて、復興公営住宅の整備がスタートしたり、仮設住宅からの転居が始まるなどの動きが出てきて、復興フェーズへの移行がようやくみえてきました。
現地で感じるのは、避難しておられる方々の気持ちが落ち着いて、復興に前向きに取り組もうというマインドが出てくるのには、やはり3年という時間は必要だったのかもしれないということです。トップダウンでビジョンを示せばそれだけで状況が変わるわけではありません。当社は、会津若松市のほか、同市に仮庁舎を置く福島第一原発の地元・大熊町とも復興協定を結んでいますが、ようやく今年は、復興に向けたポジティブな動きで協力できるようになるという手応えがあります。
──福島イノベーションセンターとしては、どんなミッションを掲げておられますか。 中村 福島イノベーションセンターのミッションは、最終的に「スマートシティの実現」に集約されます。ここでいうスマートシティというのは、単にエネルギー消費を効率化して低炭素化を図るだけでなく、市民生活が快適で、企業が立地したい、民間が投資したい、さらには観光客が訪れたい街にするにはどうするかなど、都市が抱えるあらゆる課題を賢く解決するスキームです。つまり、魅力的な街をつくるための都市戦略そのものなのです。そして、その共通インフラとなるのがITです。スマートシティの実現は、被災地の復興はもちろん、少子高齢化が進むなかで地方が抱える課題を解決する解になり得ます。さらに、その過程で構築した知見・ノウハウは、国内だけでなく、いずれ同じ問題に直面する他国にも展開できますので、将来は日本の成長戦略を支えることにもなるでしょう。
会津若松市は、NHK大河ドラマの舞台にもなった歴史・文化に特色のある街ですし、再生可能エネルギー活用の取り組みも活発で、行政情報のオープン化にも非常に積極的です。スマートシティの実現にも強い意欲をもっておられます。これも会津若松市に拠点を置いた大きな理由です。この2年半、市、会津大学と連携して、スマートシティのモデルを確立するための実証事業に力を注いできました。
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