NTTソフトウェアの山田伸一社長は、2015年を「飛躍の年」と位置づけて、NTTグループ外向け販売の拡大に拍車をかける。技術者にとってソリューションを発案・実現しやすい環境を整え、独自の商材を拡充することによって、グループ外向け販売の売上比率を現在の約30%から50%に引き上げることを目指している。山田社長が経営者として心がけているのは「(社員が)失敗しても怒らない」ということ。働くメンバーたちが萎縮せず、技術力を発揮することができる会社をつくり、お客様に信頼される「専門店」としての位置を固めようとしている。
スピード感を出して「やってみる」
──御社は、NTTグループがシステムにかける費用をなるべく抑えようと、コスト削減に徹しているなかにあって、グループ外向け販売の強化を急務と捉えて取り組んでおられます。その進捗具合をおたずねします。 山田 当社はもともと、NTT研究所が開発した最先端技術を「外」に販売するために設立した会社です。これまでは、NTTグループ内向け販売がビジネスの大半を占めたのですが、今年、設立30周年を迎えるのを機に、グループ外の企業に向けた販売を本格的に伸ばしていきたいと考えています。
売上構成では、グループ外向け販売は現時点で3分の1を占めています。これを、数年後に半分に引き上げることは、私の野望というか、希望というか。まあ、目標ですね。そのために今、取り組んでいるのは、独自ソリューションの強化です。お客様の要望をていねいに反映し、「メイド・イン・ジャパン」を前面に押し出しながら、開発や営業の活動を進めています。
一つの例を挙げると、2014年に発売したビジネス用グループチャット「TopicRoom」があります。若手のエンジニアが自ら発案して開発の指揮を執るかたちでつくったものです。ちなみに、当社はTopicRoomを自社にも導入し、コミュニケーションの活性化に活用しています。
──山田社長は、ご自身が技術畑出身ということもあって、エンジニアがアイデアを商品化しやすい環境づくりに力を入れておられるとうかがっています。 山田 ソリューション展開に舵を切るためには、まず、社内の文化を変える必要があると捉えています。少しアベノミクスっぽく聞こえるかもしれませんが、昨年は「戦略ビジネス特区」を設置しまして、社員から、独自製品を開発するためのアイデアを募集しました。年始に募集を締め切ったところ、私の予想をはるかに超える133件の応募があって、なかには、実際に開発に生かすことができそうなものも多々ありました。
アイデアは、そのままビジネス化できるかといえば、それは疑問ですが(笑)、「やってみないとわからない」というのが、技術者としての私のスタンスです。各部門の責任者に対して、「失敗しても私は怒らない」と念を押し、成功するまであきらめず、胸を張って頑張るようにと励ましています。
重要と捉えているのは、スピード感です。迅速に動けば、失敗の経験をすぐに開発に反映することができるので、いい製品が生まれると確信しています。
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