エンタープライズを攻める
──就任してから、これまでビジネスで取り組まれてきたことは何ですか。 当社には、大きく三つのビジネス領域があると考えています。一つは、通信キャリアをはじめ、ISP(インターネットサービスプロバイダ)、あるいはOTT(オーバーザトップ)などのお客様です。ここは、当社の主力領域ですので、お客様の要望や課題、それを踏まえて当社がどのように取り組まなければならないのか、を十分に理解できている。ところが、この領域はお客様の投資が今は少し落ち着いている段階に入っている。
そのため、「今までとは違う領域でビジネスを手がけなければならない」という考えが出てきました。当社が今、カバーできていない領域というのは、官公庁やエンタープライズ。とくにエンタープライズは、通信キャリアを中心に据えていた当社にとって市場規模が莫大だと捉えています。ですので、ビジネスの可能性がどこに一番あるのかを今、ていねいに分析しています。エンタープライズの領域に専任チームを立てて、当社にとっての“ホワイトスペース”を開拓しています。これが二つ目。
三つ目は、パートナーとの関係強化です。パートナーには、大変よくしていただいている。競合製品を多数取り扱っているにもかかわらず、当社のテクノロジーにも興味をもっていただいている。
一つ目と二つ目では、当社がビジネスを拡大していく領域の話をしましたが、一つ目は当社がリードできているマーケットで、営業やSEがいろいろな提案をして、なおかつお客様のこともよくわかっている。しかし、二つ目のエンタープライズに関しては、私たちよりも三つ目に話したパートナーのほうがノウハウをもっています。ですから、エンタープライズはパートナーのリードで、場合によってはパートナーの人的ネットワークを使いながらビジネスを進めていきます。
──日本法人が米国本社に何でも意見がいえるという点で、今後は日本向け製品・サービスの提供を拡大できるのではないかと見受けられます。それを踏まえて、“ホワイトスペース”のエンタープライズに参入するわけですが、パートナーと一緒にやっていけば開拓できる可能性は十分にある、ということですね。 その通りです。もしかすると、パートナーがエンタープライズ領域では競合製品を扱っているかもしれませんよね。そこに、当社の製品を採用していただけないかをパートナーと交渉しています。実際、当社の製品をエンタープライズの領域で、「売ってみようか」というパートナーも出始めています。エンタープライズの領域で、当社がお客様の代表電話から営業をかけていくより、パートナーの力でお客様に近づくことができる。そこが私たちにとって、パートナーが非常に大切な存在である理由です。パートナーにとっても、当社の製品によって競争力が生まれるのではないかと自負しています。
[次のページ]