日本を一つのリージョンに
──日本市場は、本社からはどのようにみられているのでしょうか。
グローバルにおいて、日本は最重要戦略市場と位置づけられています。その理由は二つあり、一つは経済大国だということ。二つめは、ネットワークの品質やコスト、法整備といった面において、クラウドビジネスを展開する環境がかなり整ってきたことです。ただ、日本においてクラウドビジネスが欧米ほど進んでいるかというと、まだそこまで進んでいないのが現状。しかし、逆にいえばそれはホワイトスペースで、市場はいくらでもあるといえます。
ですので、実は毎週のようにグローバルエグゼクティブが日本にきて顧客訪問をしたりしています。うれしい反面、忙しいですね(笑)。
──では、これからの国内戦略を教えていただけますか。
18年から20年にかけての3か年計画を立てました。一つは、大手SIerを中心とした戦略パートナーとスクラムを組んで、G2Kのお客様などに向けてアプローチしていきます。もちろん大手のお客様だけではなく、もう少し企業規模の小さなお客様のところも狙いますので、そこに対しても第2レイヤくらいのパートナーとお仕事をさせていただくことを考えています。
ただし、これをやるにはパートナーだけに依存するわけにはいかないので、われわれもハイエンドでエグゼクティブアプローチを行います。私を含め、当社のマネジメントがお客様のエグゼクティブレベルとお話しして、われわれのソリューションを理解していただきたいと思っています。ハイタッチは継続しながら、パートナーを一緒に巻き込んで仕事をしていく、そういうアプローチをしていきます。
──最後に、今後の目標をお聞かせください。
グローバルにおけるServiceNow Japanの存在感を高めていきたいです。日本は、市場としては重点を置かれている地域であるものの、ビジネスの規模はまだそれほど大きくありません。ビジネス規模が、ちゃんとグローバルの視点からみても、「日本は外せないよね」という存在にならないといけない。
今、日本はアジアパシフィックジャパン(APJ)を構成する一国ですが、今後数年間で、AP全体と同じくらいの規模に拡大し、一つのリージョンとすることが目標です。それが私自身、一つのキャリアゴールだと思っています。
今後数年間で、アジアパシフィック全体と同じくらいの規模に拡大し、
一つのリージョンとすることが目標です。
<“KEY PERSON”の愛用品>出張の“相棒
米国出張の際に購入したキャリーケース。太すぎない鞄の幅がお気に入り。出張はキャリーケースとともにが基本スタイルで、「コロコロしながら客先に行くと、出張ですか?と聞かれる」と、その姿は顧客にもよく知られているようだ。
眼光紙背 ~取材を終えて~
ServiceNowのグローバル共通の取り組みとして、「Go-Live Cake」がある。ユーザー企業でServiceNowがカットオーバーしたお祝いとして、プロジェクト名や企業ロゴなどが入った顧客ごとにオリジナルのケーキを贈るというものだ。「カスタマサクセスがわれわれの喜びであるということを実践している会社。だからビジネスが伸びている」と、村瀬社長は語る。
村瀬社長の信条は、「企業は人なり」。製品がよかろうが悪かろうが、能力のあるタレントが高いモラルとモチベーションをもってビジネスを回せば、ビジネスは成功するという考えからだ。「当社は製品力があり、市場もある。あとはタレント。ここをさらに拡充できれば絶対伸びると思っている」といい、実際に近年はオフィスの増床を行うほど、人員の拡充を進めている。日本でのビジネス拡大は、これからが正念場だ。(宙)
プロフィール
村瀬将思
(むらせ まさし)
1971年3月、静岡県清水市生まれ。法政大学工学部経営工学科を卒業。TKC、iGATE Global Solutionsを経て、2009年、日本ヒューレット・パッカードにHPソフトウェア・ソリューションズ統括本部プロフェッショナル・サービス事業本部本部長として入社。14年に同社HPソフトウェア事業統括執行役員に就任。16年1月から現職。
会社紹介
米ServiceNowは2004年に設立。ITILをもとに設計されたSaaS型ITサービスマネジメントプラットフォーム「ServiceNow」を提供する。創業以来、着実に売り上げを伸ばし、グローバルの総売上高は10億米ドルを超える。米国のほか、英国、イスラエル、インド、シンガポールなどに拠点をもち、従業員数は約5900人。13年に日本法人を設立し、国内展開を本格的に開始した。