サービス売り上げを35%から50%に
──中計では、連結業績の目標として、19年度(20年3月期)の売上高が1060億円(16年度比101%)、営業利益が28億円(同131%)としていますが、若干コンサバティブな数値のように感じるのですが。
いままでできていなかったのは、M&Aなんです。ここ数年、当社のような中堅SIerで成長したITベンダーは、いい悪いは別にして全部M&Aで業績アップを実現しています。M&Aの対象は、SIerだけでなくユーザーの情報システム部門も含めてです。富士通や日本IBMなどでも、「戦略的アウトソーシング」といっています。当社が感じるのは顧客が技術者不足や高齢化の問題を抱えているので、そこを手助けしたいのです。
──いろいろな施策を挙げていただきましたが、全体を通して、江森社長はとくに何を伸ばしたいのですか。
中計には書いていませんし、言い過ぎかもしれませんが、サービスを全体の売上高の50%にしたいと考えています。16年度(17年3月期)で約35%でした。そうすれば、キャッシュフローがよくなります。当社には技術力があります。今までは、オンプレミスで情報システムを構築することで成り立っていましたが、今後注力したいのはクラウドです。当社の強みであるPBX(電話交換機)も、クラウドに移行しています。また以前から、オンプレミスのコールセンターのシステムを構築してきました。
当社全体では、100席以上の大規模コールセンターの販売・施工・保守をしているのが全国に4万席あります。ほぼすべてがオンプレミスです。今後は、100席以下の当社の手つかずの領域に「クラウドコールセンター」を提供していきます。コムデザインは、AI連携システムなどをもっています。同社の技術を生かし、アイデアを形にしていきます。
──江森社長になってから、「健康経営」に力を入れています。最後にその理由をお聞かせください。
私が社長になる前から、健康経営は掲げていました。ただ、あまり進んでいなく、17年4月の社長就任で一気に舵を切りました。当社のビジネスは泥臭いですので、残業が多いんです。そこで、例えば、「総労働時間」を5%減らすことをKPIにして取り組んでいます。いままでと違うのは、家族のことも考えていることです。若手社員が「すごい」と喜んでいますよ。
これからは〝センサ戦争〟の時代になりますので、
ここに勝ち抜く施策をしていきます。
<“KEY PERSON”の愛用品>「白いシャツが好き」でブランド揃え」
「白いシャツが好き」と、ふだん仕事で着用するワイシャツは、すべてが白だ。上着に合わせるようにカフスやネクタイも英国Duchamp(ドゥシャン)で揃えている。透かしが入ったワイシャツで、おしゃれ度を感じる。
眼光紙背 ~取材を終えて~
中期経営計画(中計)を社外に非公表だったことには驚かされた。江森勲社長は、自分の意思で、将来を見通したうえで公表に踏み切った。SI事業を展開するITベンダーは、どこも成長戦略に頭を抱えている。M&Aは、企業規模を拡大する一つの手段だが、江森社長は自前主義からの脱却を考え、一緒に組む相手探しの一環で決断した。
都築電気の取材は、私を含め、同僚の担当記者でさえ、1年以上間隔が空いていた。その間の変わりようは目を見張るものがある。AIやIoTに関する取り組みだけでなく、強みを伸ばし弱みを解消するため、有効な手を下していたからだ。
取材前、江森社長の写真を見る限り、「インタビューはやりにくそう」と勝手に思っていた。だが、記事通り、端的に的確な答えが返ってきた。余談ではあるが、スポーツが大好きらしい。この年齢でありながらスリムで姿勢のよさが目立った。(吾)
プロフィール
江森 勲
(えもり いさお)
1959年1月、横浜市生まれ、59歳。81年に相模工業大(現湘南工科大)を卒業し、都築電気工業(現・都築電気)に入社。2004年4月、北海道支店長、08年4月に東日本営業統括部長に就任。支店長時代は自治体ビジネスの立ち上げに貢献した。09年6月に取締役、12年2月に取締役執行役員常務に着任。その後は、ビジネスソリューション事業で全国の陣頭指揮を執る。15年4月に取締役執行役員専務、17年4月から現職。座右の銘は「一期一会」。
会社紹介
1932年、都築商店として名古屋で創業。電話中心の電気通信設備工事業を開始。86年、東京証券取引所第二部に上場。88年、通産大臣(現経済産業大臣)認定のシステムインテグレータ企業になる。91年、現社名に変更。富士通系列のインテグレータとして存在感を増す。その後、香港やシンガポールに現地法人を設立し海外展開を開始。2006年、中国・上海に現地法人を設立。11年、観光・旅行業向け基幹システムなどの開発会社ネクストヴィジョンの株式を取得。12年、都築電産と合併。