スキャナに代わる
新たなビジネスをつくる
――今後の成長戦略を教えてください。
先ほど言ったように、スキャナやエンベデッドなど、プロダクトを中心にしたソリューションサービスで付加価値をつけ、お客様の現場の課題をしっかり解決していきます。
ただ、デジタル化がどんどん進んでいる中で、スキャナの将来も正直、10年後20年後にどうなるかというのは見えない状況です。そのため、それに代わる次の新しい柱を創り出そうということを、この中計でも言っています。
――そのための取り組みとしては、どのようなことを行っていますか。
昨年4月に新規事業開発を担う部門を立ち上げました。そこに各部門から若手を中心に40~50人を集めて、いろいろなスタートアップと連携したり、米国のシリコンバレーや中国に人を送ったりしています。ほかにも、社内コンテストを行ったりと、昨年言い出してから、新しいことをやりたいという提案の数も倍くらいに増えました。成果は簡単には出てこないと思っていますが、そうしたトライアルを進め、新しいものを見つけていきたいと思っています。
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Goods
英国のブランド、ダンヒル(dunhill)の名刺入れ。「9年前に富士通の役員になったときに、親しくしていたパートナーの若手たちから贈られた」という、思い入れのあるものだ。営業としてキャリアを歩んできた半田社長にとって、名刺入れは常に必須のアイテム。「使い勝手もいい」と、機能面でも気に入っている。
眼光紙背 ~取材を終えて~
創業60年、ベンチャー精神で挑戦する
「富士通時代にスキャナのことをよく知らなかった」という半田社長は、PFUの社長に就任した18年4月、石川県かほく市宇野気にある本社でスキャナのデモを見た。状態の悪い紙でも紙詰まりを起こさない給紙・搬送技術などを目の当たりにし、PFUの持つ技術力の高さに「本当に感動した」と言う。「PFUには、真摯に技術を追求して、品質の高いものをつくる魂がある」
一方で、「既存のお客様や技術を守っていればビジネスができるという妙な安心感がある」という課題も。営業畑だった半田社長自身の経験からも、特に営業には「もっとガツガツ、新しいお客様を開拓していこう」と鼓舞する。
今年は創業60周年。もともと、創業時の「ウノケ電子工業」は7人で始まったベンチャーだった。「創業時のベンチャースピリットを思い出し、挑戦する会社に変えていきたい」。強みとする既存の技術をさらに強化しながら、新たな事業の柱をつくり出し成長していく。
プロフィール
半田 清
(はんだ きよし)
1956年生まれ、埼玉県出身。79年に早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、富士通に入社。流通ビジネスを中心にキャリアを積む。2011年、執行役員流通ビジネス本部長。15年、執行役員常務産業・流通営業グループ長。18年4月、PFUの代表取締役社長に就任。
会社紹介
1960年、「ウノケ電子工業」として創業。石川県かほく市と神奈川県横浜市に本社を置く。現在は富士通の100%子会社として、ドキュメントスキャナや情報KIOSK(キオスク)端末などのハードウェア、セキュリティや文書管理などのソフトウェア・サービス、システム構築や運用・保守サービスなどを手掛ける。ドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズは、「BCN AWARD 2020」スキャナ部門で年間販売台数シェア1位。19年3月期の連結売上収益は1352億円、社員数は4403人(19年3月現在)。