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AI活用、業界プラットフォーム、人的資本を重視

野村総合研究所 代表取締役社長

柳澤花芽

取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝

2025/06/23 09:00

柳澤花芽

週刊BCN 2025年06月23日vol.2064掲載

 野村総合研究所(NRI)は、2027年3月期からの次期中期経営計画の策定に当たり、AIによるビジネス変革や業界プラットフォームの拡充、人的資本への投資拡大を重視している。AI活用では自社の生産革新から徐々にユーザー企業のビジネス変革へと比重を移し、業界プラットフォームは非金融分野やオーストラリアへの横展開を推進する。人的資本への投資では処遇改善に加え、成長や社会貢献を実感できる環境づくりに力を入れる。海外ビジネスの営業利益については、将来的に国内と同水準の20%程度に高めることを視野に入れている。
(取材/安藤章司  写真/大星直輝)

現行計画の目標達成は射程圏内に

――社長就任から1年余りが過ぎました。まずは、これまでの取り組みをお話しください。

 経営幹部との意思疎通を重視し、率直な意見交換を重ねたこともあり、どのように進んでいくのかという方向性がぶれることなく進められました。業績面では海外事業で一部苦戦している部分がありますが、26年3月期までの中期経営計画で掲げた売上高8100億円、営業利益1450億円を射程圏内に収めるところまで来ています。

――27年3月期からの次期計画については、どのような方向性をお考えですか。

 経営チームで議論を進めている最中ですので、まだ明確にはお答えできませんが、▽AIによるビジネス変革▽知的資本への投資による新しいサービスの創出▽人的資本への投資拡大ーの三つを軸とする方向で検討しています。この3点については、次期計画を待たずに本年度から前倒しで取り組んでいる項目でもあります。

 まず「AIによるビジネス変革」では、社内のシステム開発の生産革新に取り組んでおり、25年3月期はAI関連で100億円規模の投資を行いました。プログラムの自動生成やテストの自動化などにより、システム開発の速度を上げて納期を短縮したり、品質の底上げ・安定化につなげたりと成果を挙げています。

 AI活用を前提としたシステム設計や品質管理の手法を確立し、生産に従事していた人的リソースを要件定義や設計といった上流工程にシフトできれば付加価値を高められ、生産力の向上によってさらに多くのプロジェクトをこなせるようにもなり、売り上げの増加が期待できます。

 AIによるビジネス変革は、ユーザー企業にも当てはまります。当社のコンサルティングによる業務変革の提案力と、顧客が有する既存システムへの深い理解、AI実装力を掛け合わせ、ユーザー企業のビジネス変革に力を注いでいきます。26年3月期のAI関連の投資額は170億円を計画しており、前年度までの社内の生産革新に加え、今後はAIによるユーザー企業のビジネス変革を推進する分野への投資比率を徐々に高める予定です。
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野村総合研究所=https://www.nri.com/jp/