情報処理振興事業協会(IPA)は、昨年12月のコンピュータウイルスの月間届け出件数が過去最高に達する可能性があるとして、緊急警報を発令している。同協会によると、12月1-14日までの届け出件数は2155件に達しており、過去最高だった昨年8月の月間2809件を超え、月間3000件を突破するのはほぼ間違いないとしている。感染力が強いウイルスが増加していることから、同協会では十分な対策をとるように呼びかけている。

 IPAが半月間の集計値を発表するのは異例。それだけウイルスが急速な勢いで蔓延していることを示している。

 12月は、クリスマスメールや年賀状メールなどが増加する時期。「ウイルス付のメールが紛れ込みやすく、なかには、時節の挨拶に見せかけた新種のウイルスが出現する可能性もある」(IPAセキュリティセンター)。ここにきて感染力の強いウイルスが登場しているだけに、警戒を呼びかけている。

 12月14日までの段階で届け出件数が多いのが、11月から猛威を奮い始めているバッドトランス。すでに1570件の届け出がある。新種のウイルスの届け出件数では、アリズの1020件を早くも超えている。

 バッドトランスは、昨年5月に発見されており、いったんは沈静化した。今回蔓延しているのは、亜種で、インターネットエクスプローラのセキュリティホールを悪用する特徴が加わった。

 従来のウイルスは、添付ファイルを開かない限り感染しなかった。バッドトランスは、メールの本文を見ただけで感染するほか、アウトルックエクスプレスのプレビュー画面に表示しただけでも感染する。感染すると、アドレス帳などの宛先にウイルスを添付したメールを送付する。キーボードで入力した履歴をそのまま第3者に送信する亜種もあり、パスワードやクレジットカード番号の漏洩の危険性も指摘されている。

 こうした感染力が強いウイルスは、今後も登場する可能性が強いとして、今年は、こうしたウイルスへの対策を強化するように呼びかけている。

 具体的には、不容易にプレビュー画面に表示しないこと、不審なメールの削除方法を「ファイル」メニューから行うこと、といった対策のほかに、ワクチンソフトを常に最新版にすること、ウィンドウズ利用者は、ウィンドウズアップデートを利用して、パッチを当てておくことなどの対策が必要だ。

 昨年12月14日までの年間累計届け出件数は2万2516件と、前年の1万1109件の2倍規模に達している。年間および12月の届け出件数の集計値は、1月上旬に同協会から発表される。