NECカスタマックス(片岡洋一社長)は、(1)家庭用パソコン、(2)SOHO・中小企業向けパソコン、(3)ウェブを使ったマーケティング、(4)モバイルパソコンの4つを、今年の柱に据える。とりわけ、浮き沈みの激しい家庭用パソコンに代わり、SOHO向けパソコン販売の成否が収益の安定化を大きく左右する要因であると位置づける。片岡社長は、「これまで販売店とは与信管理や取引口座、仕切値、割り戻し額など、細かく中長期的な販売契約を結んでいた。今後はもっと柔軟に、販売店以外の異業種とも販売契約を積極的に結んでいくことで、SOHO市場の開拓に力を入れる」と話す。

 SOHO・中小企業市場への販路を確立する――。これがNECカスタマックスの優先課題だ。NEC本体はもちろん、大塚商会や日本事務器など代表的な販社では、規模が大きく、なかなかSOHOまで手が届かない。SOHOに手が届くのは、NECカスタマックスと販売契約を結んでいる販売店またはSOHO顧客を多くもつ異業種である。

 片岡社長は、「NEC本体の特約店は約200社、NECカスタマックスの特約店は全国に約800社ある。従来は単にパソコンや周辺機器を販売する『メーカー販社』としての取り引きだけだったが、今後は与信管理や仕切値、目標販売台数達成後の割り戻し金など既成の概念にとらわれず、より柔軟に短期間で販売契約を結んでいくことで、SOHO市場の開拓に力を入れる」と語る。

 具体例として、「中小企業向け業務ソフト開発のソリマチと販売契約を結ぶことで、ソリマチの顧客に手が届くようになる。既存の販売店であるラオックスも、独自に中小企業向けの販売に力を入れている。ソフトクリエイトも、独自の中小企業向けソリューションをもっている。多くの顧客ベースをもつ会社、例えば通販会社などとの提携も積極的に進めていく」と話す。

 SOHO市場は、デルコンピュータやコンパックコンピュータなど、直販に強いメーカーが価格優位性を武器にシェアを伸ばしてきた。

 この傾向は、今でも変わらないが、NECカスタマックスでは、販売店による付加価値=ソリューションを武器に、自社商品のSOHO市場への売り込みに力を入れる。

 同社が運営する直販ウェブは、市場動向の把握など、販売店経由での販売を支援する、あるいは販売提携先のビジネスと組み合わせた形で活用する。

 家庭用パソコンについては、「アッと驚くパソコンは、そうそうできるわけがない。細部のデザインはともかく、ノートパソコンはノートパソコンであり、デスクトップはデスクトップ。パソコンの形状そのものが激変することは考えにくい。ただし、ソニーが音楽や映像をテコにシェアを伸ばすなら、NECは『もともと通信に強い』という特徴を上手く家庭用パソコンに織り込んでいきたい」としている。

 「3年後に光ファイバーが家庭に届くとすれば、今年は光化に向けた“助走時期”にある。1本の光ファイバーからホームサーバーを起点に家庭のあちこちにある複数のパソコンで共有する家庭内ネットワークの分野なら、NECのもつ通信技術の強さを発揮できる。しかし、家庭内で浸透するであろうモバイルパソコンが、すべてソニーのB5パソコンに押さえられてしまっては、当社の狙う将来像が描けない」と、「通信」、「ホームサーバー」、「モバイルパソコン」を、光化の過程で欠かせない重要な戦略要素だとする。

 SOHO向けパソコンならば、パソコンの形状が劇的に変わらなくても、中身をソリューションに変えることで、販売提携先と“両者勝ち”の関係を築くことも可能だ。

 今年の家庭用パソコン市場については、「前年と同程度で推移すると考えているが、希望的観測で事業構造を変えると失敗する。売り上げの最大化ではなく、あくまでも利益の最大化という方向を目指すべき」と、慎重な姿勢を崩さない。