米国第4位の携帯電話企業であるT-Mobileは、リコシェ社の倒産により永らく火の途絶えていた定額無線インターネットサービスを、Sidekick(サイドキック)という新端末の投入により復活させた。ポケットPC端末による従量課金制のインターネットアクセスサービスと合わせ、競合他社への差別化政策を強力に推し進めている。

 デジタルカメラを搭載した携帯無線端末のサイドキックは、199ドルで提供されるT-Mobileの新兵器だ。携帯電話機能をもちながら、電子メール、ウェブブラウズ、AOLインスタントメッセージなどの利用が可能で、デジタルカメラも搭載している。

 2.6インチの白黒バックライト画面と共に小型のフルキーボード、ジョグダイアル相当のコントローラを搭載し、html対応のブラウザを利用したインターネットアクセスが可能だ。

 月額39.9ドルの定額により、ウェブ、電子メール、インスタントメッセージを含む全てのデータ通信が無制限、および月次1000時間の無料通話と週末の無制限無料、更には長距離通話の無制限無料というサービスパックが提供されている。

 この新端末は、シリコンバレーのパロアルトにある新興企業であるDanger社が開発した「ヒップトップ」と呼ばれる携帯電話機能付き無線携帯端末をT-MobileがOEMしたもの。

 市場はこのサイドキックの発売を、携帯電話と携帯端末の統合という業界の永年の夢が、数々の失敗を乗り越えていよいよ実現される瞬間として捉えているようだ。

 ある市場関係者は、サイドキックは、当初は企業利用よりも一般消費者市場への浸透が顕著に進むのではないかと予測している。また、一般に流通している携帯電話に対し遜色のない通話環境を提供できるかが、市場で成功するためのカギになると語っていた。

 米国携帯電話市場では、かつて各社が果敢に挑戦したものの結局はサービス中止を余儀なくされた定額無線インターネットサービスが、現在は鬼っ子のように扱われている。

 例えば、倒産後に新しい投資家を得て事業の再開を発表したリコシェは、いつまでたっても具体的なサービスの開始がままならないままに既に一年が経過しようとしている。これを見るだけでも、定額無線インターネットアクセスの提供という事業に対する目に見えない抵抗が、市場に根強く作用しているといえるだろう。

 筆者は、サイドキックにパソコンへの無線インターネットアクセス提供機能が搭載されているかを確認するために、T-Mobileのサービスデスクへ電話した。ところが、一時間以上たらいまわしにされたあげく、USB接続機能はもっているものの、モデムとして機能させることはできないデザインになっている「らしい」ことがやっとわかったという事実もここに合わせて報告しておく。