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インクリメントP デジタル地図に課金システム導入

2003/03/24 19:14

週刊BCN 2003年03月24日vol.983掲載

初のECビジネス参入へ

 インクリメントP(清水敏彦社長)は、デジタル地図の「マップファン」に本格的な少額課金システムを組み込む。これまで、同社の売り上げの7割は、カーナビゲーションシステムなどに使うデジタル地図の受託制作が占めていた。マップファンに少額課金システムを組み込むことで、同社独自の「シチュエーションビジネス」を立ち上げる。マップファンとは、同社主力の自社ブランドサービスで、課金システムの整備で早期に収益の柱が立つという。

 同社が独自に開発した課金システムの名称は「イプコス」。まずは中小企業向けの電子通販サイトのパッケージソフト「通販開業エックス」(1万9800円)に組み込む。課金にともなう手数料は月額7500円からで、4月からサービスを始める。これが同社初の本格的なEC(電子商取引)ビジネスへの参入になる。だが、実際に目指す「シチュエーションビジネス」は、通販ではなく地図と組み合わせたECだ。このため、次の段階では、主力の自社ブランド商品であるデジタル地図「マップファン」にEC機能の組み込みを急ぐ。すでに、親会社のパイオニアでは昨年11月、カーナビと携帯電話、少額課金を組み合わせた「エアーナビ」を発売している。インクリメントPとしては、パソコンや携帯電話、PDA(携帯情報端末)上で同様のサービスを実現する。

 シチュエーションビジネスとは、例えば、「劇場の近くにいる人」向けには「劇場での公演案内」を送り、「デパートの近くにいる人」向けには「デパートの催し物」の情報を送るというサービス。地図を媒介として、劇場の入場券の販売や物販に結びつける。これまでは、インターネットを介してデジタル地図が閲覧できるだけのサービスだったが、これにECを組み合わせることで収益性を高めるのが狙いだ。清水社長は、「カーナビ向け地図データベースの受託制作だけでは、競合他社や国内市場の動向を踏まえると、年商100億円を稼ぎ出すのが限界。この壁を突破して、売上高を200億、300億円と伸ばすためには、当社の強みであるデジタル地図をベースにしたシチュエーションビジネスの拡充が欠かせない」と話す。

 2年前から始めた有料のデジタル地図のオンライン閲覧サービス「マップファンドットネット」の利用者は、現在約10万人。業界に先駆けた画期的なサービスにも関わらず、会員数が思うように伸びなていない。これを打開するために、3月14日から2週間のテレビ広告を含む約1か月間の販促活動を始めた。販促予算は約2億円。「マップファンドットネット」のサービス開始以来、初めての大型告知活動に踏み切った。今年度(2003年3月期)の売上高は約75億円、経常利益3億円を見込む。3年後の05年度(06年3月期)には売上高100億円を目指す。シチュエーションビジネスなど、位置情報とECを絡めた新規事業を収益拡大に向けた原動力にしたい考えだ。
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外部リンク

インクリメントP=http://www.incrementp.co.jp/