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ダブルクリック 03年度は黒字化を目指す

2003/05/26 19:20

週刊BCN 2003年05月26日vol.991掲載

チャネル戦略で製品を拡販

 ダブルクリック(鈴木和洋社長兼CEO)は、収益性が高い事業を拡大することで2003年度(04年3月期)に黒字化を目指す。同社は97年の設立以来、赤字が続いており、昨年末にトランス・コスモスグループが筆頭株主となった。黒字化を達成するための戦略として、eメールマーケティング支援ソフト「ClickM@iler(クリックメーラー)」のチャネル開拓に力を入れる。今年はeメールマーケティング支援ソフトとコンサルティングを含めたeメールソリューション市場が国内で急激に成長するとみており、この市場向けの製品を拡販することが重要だと判断した。03年度中に10社程度の販売代理店を獲得する考え。

 同社は、メール広告やモバイル広告などの営業・配信・管理のアウトソーシングサービスを提供するメディア事業と、eメールマーケティング用ソフトを提供するテクノロジーソリューション事業の2つがビジネスの柱。昨年度(03年3月期)の業績は、売上高が約28億6000万円、経常損益が約5億3000万円の赤字、当期純損益が約6億500万円の赤字の見通し。設立以来、赤字が続いている。

 昨年末には、トランス・コスモスの100%子会社であるトランス・コスモスUSAが筆頭株主となり、事業基盤の強化と事業を拡大する体制を整えるために組織を変更した。また、今年3月12日には同社顧問の鈴木和洋氏が社長兼CEOに就任した。鈴木社長兼CEOは、「収益性が高い事業を拡大することで、今年度は黒字化を目指す」としており、そのためにテクノロジーソリューション事業を強化していく。

 具体的には、主力製品のeメールマーケティング支援ソフト「クリックメーラー」を拡販。また、パッケージ製品の販売代理店を10社程度獲得していく。クリックメーラーは、eメール受信者のクリック率や開封率などeメール配信の効果を測定するレポーティング機能を搭載したe-メールマーケティング支援ソフト。また、テキストやHTMLメール、モバイル端末などに対応したフォーマット配信機能、作業効率の向上を追求したユーザーインターフェイス、企業の配信ボリュームに対応したアーキテクチャなどを採用しているのが特徴。

 鈴木社長兼CEOは、「eメールマーケティングを支援するソフトやコンサルティングを含めたeメールソリューション市場は、米国で急速に伸びている。しかし、日本では米国の10分の1にも満たない。経済不況のなか、企業は製品情報をできるだけ安いコストで顧客に届けなければならない」と語る。そのうえで、「国内eメールソリューション市場は、今年から急激に成長し、現状の1.5-2倍程度に拡大するだろう」と分析する。一方、メディア事業については、「売上高は昨年度と同程度と見込むが、コスト削減などで利益を確保していく」としている。
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