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中国エンドユーザーは移動体通信をどう見る?

2003/06/02 19:23

週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載

移動電話購入費用は2万円弱

 サーチナの関連会社である上海新秦信息諮詢有限公司では、オンラインモニターを利用した移動体通信に関する調査を行った。新型肺炎SARSの影響で、日常生活における対面性が減少、そうして活性化してきている通信業界、とくに中国移動体通信に対して、中国のエンドユーザーがどのようにとらえているのか、現状や今後を探る。

 今回の調査では、「最も信頼している移動体通信キャリア」について、中国移動(チャイナモバイル)が66.33%を占めてトップとなった。ついで中国聯通(チャイナユニコム)で15%程度となった。純粋な移動体通信としての携帯電話の中国におけるシェアは中国移動が70%、中国聯通が30%といわれており、今回の調査結果はこれと比べて両者とも数値を落とす結果となった。

 その要因としては、モニターの10%近くが移動電話未使用者で、この大部分と一部すでに使用しているモニターが通信キャリアの信頼性について「考えたことがない」と答えたことも大きいが、何よりも今回の調査は純粋な携帯電話に関する調査ではなく、PHSを含む移動電話全体を対象としているものであり、7%ほどがPHSに流れることになったためといえる。

 中国版PHS「小霊通」は、今年4月に広州でサービス解禁となった後、5月には北京や上海でも続々とサービスが開始されている。中国政府当局は第3世代(3G)携帯電話の普及をにらんで、「小霊通」の大都市におけるサービスを禁じていたが、ユーザーからの要望もあって、この禁令を徐々に解除している。今回の調査でも、PHSの大都市におけるサービス解禁について、5割近くが賛成、3Gなどへの配慮から反対するのは3割弱にとどまっている。

 サービス料金として携帯電話に比べて割安な中国版PHSを運営しているのが中国電信(チャイナテレコム)と中国網通(チャイナネットコム)。今回の調査で、最も「信頼している通信キャリア」として、PHSサービスを展開する中国電信と中国網通がそれぞれ6.06%と1.63%となった。

 現在利用中のサービスネットワーク別で見ると、中国移動のGSMが55%近くを占めて最も多くなった。中国聯通のCDMAは8%弱。PHS方式では6%弱。また携帯電話とPHSを併用するユーザーが1.34%となった。通常の通話ではPHSが割安だが、現在、中国でブームとなっているショート・メッセージ・サービス(SMS)では携帯電話のほうが便利とされており、今後それぞれの提供サービスに大きな変動がない限り、中国において携帯電話とPHSの併用というユーザーが増加する可能性もある。

 「現在使用している移動電話端末」について、6割以上が海外メーカーとなっていることも明らかになっている。もともと中国の移動電話では海外勢が強かったが、松下、NEC、ソニーという日本メーカーではわずか6%程度に過ぎず、モトローラ、ノキア、サムスンといったところに人気が集中した。(サーチナ・有田直矢)
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