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アドビシステムズ 電子ドキュメント事業に本腰 コンサル会社を中心にパートナー拡充

2004/01/12 20:19

週刊BCN 2004年01月12日vol.1022掲載

 アドビシステムズ(石井幹社長兼米アドビシステムズ副社長)は、「Adobe Acrobat(アドビアクロバット)」を中心とした電子ドキュメントソリューション事業で、新たなパートナーの開拓に乗り出す。「アクロバット」の多機能をユーザーに浸透させ、拡販を図るためにはこれまでのパートナー3社だけでは困難だと判断。ユーザーの業務フローの見直しまで踏み込めるコンサルティング会社やシステムインテグレータを中心とする新たな協業体制を築いていく。2004年中に一気に10倍規模になる約30社とパートナー契約を結ぶ方針だ。

 石井社長兼米本社副社長は、「アクロバットでは、電子署名機能や、既存のERP(統合基幹業務システム)やCRM(顧客情報管理)で活用しているデータとシームレスに連動し、容易に電子文書化・プリントアウトできる機能などを搭載している。企業や自治体の業務フローの見直しを実現できる製品に成長した」と、その豊富な機能を売り込んでいる。

 しかし実際には、「単なるPDF作成ソフトとしかユーザーに思われていない状況でもある」と語り、その強みを生かしきれていないのが現実だとしている。そこで、これまでのNECソフト、日立ソフトウェアエンジニアリング、東芝エンジニアリングのパートナー3社体制では限界があることから、「企業のビジネスプロセスの改革にまで提案の幅を広げる必要性がある」(石井社長)と判断。システムインテグレータやコンサルティング会社を中心に新たなパートナーとの提携に乗り出すことを決めた。

 ビジネスコンサルティングや総合的なシステム構築を手掛けている企業といった新たなパートナー制度を実施することで、「企業や自治体の業務を変えるためのツールとしてアクロバットを提案できるパートナーを探したい」(同)としている。既に米本社では、アクセンチュアなど、大手コンサルティング会社との協業体制を築いている。

 今年の計画では、約30社と新たなパートナー契約を結ぶ予定。パートナーへの支援体制など具体的な協業体制は今後詰めていくとしているが、「パートナー開拓のために自ら1社1社お願いしていく」(同)と、トップセールスも始める。同社では、電子ドキュメントソリューション事業を、従来の主軸事業であるデザインソフト関連事業の「クリエイティブプロフェッショル」、「コンシューマ」と並ぶ3つ目の柱となる事業領域と捉えており、パートナー制度の強化により事業規模を拡大させていく考えだ。
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外部リンク

http://www.adobe.co.jp/