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ゲートウェイ、eマシーンズを買収 米国3位のパソコンメーカーに

2004/02/09 20:22

週刊BCN 2004年02月09日vol.1026掲載

 業績低迷が続く米パソコンメーカー大手ゲートウェイは、業績拡大中の低価格パソコンメーカー大手、eマシーンズを総額8000万ドルで買収すると発表した。ゲートウェイは、eマシーンズの最高経営責任者(CEO)をゲートウェイのCEOに迎え、同社のノウハウを活用することで、生き残りをかけ転身を図る。

 今回の買収でゲートウェイは、デル、ヒューレット・パッカード(HP)に次ぐ米国3位のパソコンメーカーになる。年間生産台数は400万台近くになる。

 買収後はeマシーンズのCEOで日系米国人のウェイン・イノウエ氏がゲートウェイのCEOに就任。ゲートウェイの創業者のテッド・ウェイト氏は会長職に留任する。ゲートウェイは、過去13の四半期のうち12期が赤字。液晶テレビでは全米ナンバーワンのシェアをつかんだものの、パソコン事業は低迷が続いており、業界関係者の間では同社がいずれパソコン事業から撤退しデジタル家電メーカーとして生き残りをかけるとみられていた。

 一方、eマシーンズは1998年の創業。低価格パソコンメーカーとして一世を風靡したが、00年にはパソコン市場低迷の波を受けて業績が急速に悪化。一時は倒産の噂が流れた。同社を再生させたのはロサンゼルスの実業家ラップ・シュン・フイ氏。同氏はもともと同社に出資していたが、低迷を期に積極的に経営に参加。01年3月に米大手家電店チェーン「ベストバイ」のコンピュータ部門担当重役だったイノウエ氏を経営トップに据え、同年12月にはeマシーンズの株式を一手に引き受けた。

 その後はイノウエ氏の手腕で業績がみるみる改善。同氏は、部品を台湾、韓国メーカーから調達し中国で組み立てるなど徹底的なコスト削減策を取った。米本社の仕事はマーケティングなどの中枢業務だけ。従業員数はわずか130人だ。一方で、小売店に対し一定の利ざやでの販売を徹底させ、詳細な需要予測に基づく生産を行った。

 eマシーンズの業績はその後順調に推移、現在600ドル以下のパソコン市場の60%近くのシェアを握っている。03年の売上高は前年比40%増の約10億ドルとなった。同社の売上高に対する経費の割合はわずか6%。ゲートウェイの経費の割合が20%だから、eマシーンズの効率経営ぶりがうかがえる。

 発表当日の金融マーケットは今回の買収を好感、ゲートウェイの株価は前日終値比15%増の4ドル72セントとなった。金融アナリストたちの見方もおおむね好意的だ。米調査会社IDCのアナリストのロジャー・ケイ氏は米ニューヨークタイムズの取材に対し、「パソコン市場は成熟期に差しかかっている。現時点で重要なのは体力。合併で規模を維持することも有効だ」と語っている。

 米パソコンメーカーは、直販のデル、総合力のHP、低価格機のゲートウェイと、それぞれが特色を打ち出した戦いになりそうだ。(湯川鶴章)
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