ソフト開発業界では、人件費の安い中国やインドで開発を行うオフショア開発への関心が高まっている。その中で、ニューコン(紐康)の王春華社長(=写真)は、「当社はオフショア開発では先駆者のつもりだが、今年は中国・海南島にも子会社を設立してさらにコスト競争力を高める」方針を打ち出した。現在は、上海に上海飛楽ニューコンという合弁会社を持っているが、近く海南島にも海南大学、日本の大手企業と合弁でソフト開発・製造会社を設立する。

 同社の創業は1991年。王社長は、中国の国費招聘学者として84年に来日、京都大学で2年間研修した。終了後は中国に戻り、上海税関に就職、技術部副部長まで務めたが、「いずれは会社を興したい」と考えていたという。91年に中国系企業の東京支店長として再来日、同支店を母体に93年にニューコンを設立した。日本で会社を設立したのは、「当時の中国は開放政策が始まったばかりで、まだ混乱していた」ため。ソフト会社を目指したのは、「京都大学で学んで興味を持ち、自分でプログラムを書いたりしていた」からだという。

 設立当初は、中国人のソフト技術者を客先に派遣する事業をメインにしていたが、現在は、オフショア開発受託事業、自社開発した医療情報管理システムの販売、ソフト開発受託/ソフト技術者派遣──を3本柱にしている。社員は約100人で、そのうち中国人は約80人という。99年には、中国で上場企業第1号となった「飛楽音響」と合弁で、上海に「上海飛楽ニューコン」を設立、現在では約100人の社員を抱える。

 「創造、信用、努力をモットーにやってきた。社名のニューコンは、ニューコンセプト、つまり創造から取ったが、新しいアイデアを徹底的に追求している。国際化も当初から目指しており、たとえば会議も当初は上海語だったが、北京出身の社員が増えるにつれ北京語に変え、いまは日本人も増えているので日本語に変えた。いずれ英語にする時代がくるかもしれない」と笑う。
 上海飛楽ニューコンを設立したのは、「ソフト開発も、人件費の安い中国でという時代がくる」と見越していたからだが、「日本で設計、中国で製造というサイクルがうまく回り出し、オフショア開発受託事業は急速に伸びている」という。「オフショア開発で最も重要なのは人材。当社は、概要設計、詳細設計のできるブリッジSE(システムエンジニア)を積極的に育ててきた。ある大手電機メーカーの新営業システムの開発にも参画、表彰状をもらったが、生産管理、販売管理、資材、流通、ウェブ、医療、ERP(統合基幹業務システム)などの開発に実績を持っている。品質、コスト、納期などは日本側が全責任を持つ体制も確立している」という。

 こうした実績が認められ、オフショア開発を同社に発注するユーザーが増えており、そうしたニーズに柔軟に対応するため「海南島にも進出する」ことにした。海南島は風光明媚な土地として知られるが、「人件費やオフィス費用は上海に比べ相当安い。地元の海南大学、日本の大手企業との合弁会社にする予定だが、大学から優秀な人材を回してもらえるはずだ。基本設計は日本、詳細設計は上海、製造は海南島というトライアングル体制により、コスト競争力でもどこにも負けない体制を作っていきたい」としている。