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NTTソフトウェア 組織再編でV字回復 03年度は黒字化の見通し

2004/02/16 20:22

週刊BCN 2004年02月16日vol.1027掲載

 NTTソフトウェア(鈴木滋彦社長)は、昨年7月に行った組織改革で利益率の高いプロジェクトを遂行する体制ができたことから、2003年度(04年3月期)に経常利益5億円(前年度は8000万円の赤字)と2年ぶりの黒字を達成する見通しを明らかにした。組織改革では、「モバイル&セキュリティ」、「ネットワークサービス」、「エンタープライズ」のソリューション事業グループを立ち上げ、8種類のソリューションを核としてビジネスを展開。大人数で手がける大型プロジェクトの案件数を減らし、利益率が高くリスクが小さい少人数で行う中小型プロジェクトの獲得にシフト。技術者や営業担当者を効率的に投入できる体制に切り替えた。今後も同様の方針で受注拡大を図り、2010年度に売上高1000億円、経常利益100億円を目指す。

 NTTソフトウェアは、02年度業績が売上高で前年度比26.8%減の398億5800万円、経常損益で8000万円の赤字(01年度は2億1500万円の黒字)となった。

 その後、昨年6月末に副社長だった鈴木滋彦氏が社長に昇格。7月1日付で抜本的な改革を断行した。鈴木社長は、「今年度は、売上高が350億円と昨年度を下回るものの、経常段階で5億円の利益を計上する見込み。収益確保の基盤が今年度で構築できた」と、改革の成果を語る。

 具体的には、コーポレートレベルのアカウントマネジャーの増員と、顧客に対してソリューション提案を行なう営業システムエンジニアを各事業グループに配置。顧客対応力の強化を図る一方で、市場開拓のためのマーケティング機能の強化など、営業体制を強化した。さらに、製品別だった事業部を「モバイル&セキュリティ」、「ネットワークサービス」、「エンタープライズ」の3種類のソリューション別事業グループに再編。大型プロジェクト中心から、利益率が高く不採算プロジェクトに陥るリスクが少ない中小プロジェクトを中心とした事業展開に変更した。

 ソリューション別組織に再編したことで、技術のシナジー効果や技術者間の連携を促進し、ネットワーク基盤からアプリケーションまでのソリューションをトータルで提供する体制を確立。

 さらに、事業グループ横断の組織として、生産性革新センターを新設することで、各開発過程におけるリスクマネジメントの実施、全技術者のスキル情報と稼動情報をデータベース化し、人材運用の効率化により生産性の向上を図った。

 主要ビジネスでの取り組みとして、「モバイル&セキュリティ」分野では、モバイル応用システムとモバイルネットワーク構築システムを中心に事業を展開。GPS(全地球測位システム)による位置情報システムなど携帯電話や無線LANの機能を活用したサービスを提供。また、大規模ネットワークシステムに対応したPKI(公開鍵基盤)をベースに個人証明書発行やシングルサインオンなどのシステム構築に注力し、同分野の今年度の売上見通しは130億円。

 「ネットワークサービス」分野では、ブロードバンドサービスやIPネットワークの構築を切り口として、VoIP(ボイス・オーバーIP)技術やネットワークセキュリティ技術を活用。顧客に合った付加価値の高いネットワークソリューションを提供することで、今年度130億円の売上高を見込む。

 また、「エンタープライズ」分野は、異なるシステムやビジネスプロセスを容易に統合・連携させ、戦略的にコントロールするEAI(企業アプリケーション統合)やCRM(顧客情報管理)システムなどを中心としたソリューションを提供し、今年度90億円の売上高になる見通しだ。

 鈴木社長は、「組織再編により、既存の顧客企業に対して、当社が得意とするソリューションをアプローチできた。今後は、新規顧客の開拓にも力を注ぐ」としており、2010年度までに売上高1000億円、経常利益100億円規模にする方針。
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