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インターネットセキュリティシステムズ 中小規模事業者向けに統合アプライアンス提供 低価格製品でシェア拡大狙う

2004/04/05 20:44

週刊BCN 2004年04月05日vol.1034掲載

 インターネットセキュリティシステムズ(ISS、林界宏社長)は、中小規模事業者向けビジネスを本格展開する。アンチウイルスをはじめとして複数のセキュリティ機能を包含した統合型アプライアンス製品を中小規模事業者向けに新開発、4月中旬から販売開始する。すでに販売している上位機種に比べ、価格を約半分に抑えた。6月には、従業員50─100人クラスのさらに小規模向けアプライアンスも投入する予定で、中小規模事業者向けのラインアップを揃えていく。
 大企業向けIDS(不正侵入検知システム)の開発・販売を得意としてきたISSだが、システムベンダー各社が中小戦略を明確に打ち出していることに対応し、セキュリティビジネスとして、統合型アプライアンス製品で中小規模事業者という新たな層のユーザー獲得に力を入れていくことにした。

 4月下旬に発売する統合型アプライアンス「プロベンティアM30」は、帯域を200Mbpsまで、最大ノード数を500にするなど、機能を制限している分、価格を抑えた中小規模事業者向けモデル。IDSに加え、ファイアウォール、VPN(仮想私設網)、ウイルス対策機能を1つのハードウェアに盛り込んだ。

 ISSではすでに、統合型アプライアンスとして大企業向けの上位機種「同50」を2月上旬から販売開始している。「M30」はこの上位機種に比べ、価格を約半分に設定し、55万円からとした。

 「M30」が対象とする市場は、従業員250人前後の中小規模事業者市場。中小企業に加え、大企業の支社・支店、ブランチオフィスなどに販売していく方針だ。今年6月には、50─100人規模の事業者向けに、価格を10─20万円程度に抑えたモデルも投入していく予定でラインアップも順次強化する。

 松崎義雄・マーケティング・ビジネスディベロップメント統括部長は、「当面は、大企業の支社・支店への販売が中心になる」と予想。既存の1次販売代理店17社と、2次代理店156社を通じて間接販売していく方針だ。

 これまで大企業ユーザーの販売が中心の同社だが、中小企業への販路について、「中小企業に強みを持っている販売パートナーはすでにあり、数を増やすのではなく、支援体制など連携を強化した形で拡販を図りたい」(松崎統括部長)と、既存のパートナーへの支援強化でビジネス拡大を狙う。

 ISSは、アプライアンスを昨年2月上旬に初めて販売開始したが、すでに同社の売り上げシェアで20%を超えているという。

 統合型アプライアンスは、ISSだけでなく、他のセキュリティベンダーでも製品開発に力を入れている分野で、市場競争が激しくなっている。

 松崎統括部長は、「競争は今よりさらに厳しくなるだろうが、これまでのようにIDSだけの製品ラインアップよりも、はるかにマーケット規模は大きい」と話しており、「(セキュリティの機能の中でも)IDSの技術が最も特殊な分野であり、この分野で実績のある当社にアドバンテージはある」としている。
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