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SAPジャパン 中小企業向けに2次店開拓へ 大企業の子会社向けにERP拡販

2004/07/05 21:03

週刊BCN 2004年07月05日vol.1046掲載

 SAPジャパン(藤井清孝社長)は、従業員200人以下の中小企業向けERP(統合基幹業務システム)「SAP Business One(エスエイピー・ビジネスワン)」を日本市場に投入した。初めて100%パートナー経由で販売を行う。価格は同社の中堅企業向けERPに比べ、3分の1と安価に抑えた。この価格帯の市場は国産ERPベンダーがひしめき、同社の参入で競争がさらに激化しそうだ。今後、出荷と同時にパートナーとなった1次店13社に対して2次店を拡大するよう呼びかけ、中小企業向け販売網の確立を急いで、国産ERPベンダーに対抗する。

 ビジネスワンは、財務、管理会計、販売、仕入、在庫管理などを含めたERPとして、従業員200人以下の中小企業向けに開発した。SDK(ソフトウェアデベロップメントキット)と呼ぶ開発ツールでビジネスワンを構築すると、開発は10ユーザーで数週間という短期間で済む。すでに欧米では、25か国で3000社以上に導入実績がある。

 同社は大企業向けが直販のみ、中堅企業向けが直販と間接販売を併用していた。今年に入ってからは、ビジネスワンの発売を見越し、中小企業ユーザーを掘り起こすための施策として、「国産ERPベンダーと同様にチャネル戦略が重要」(関谷泰朗副社長)と、パートナー開拓を本格化。中小企業向けではこれまでに、アイ・ティ・フロンティアやインテック、NECネクサソリューションなど13社と提携した。

 パートナーには2種類あり、新規顧客を開拓する「セールス・サービス・パートナー(SSP)」と、SAP/R3を導入した企業の事業所や連結子会社に向けて拡販する「カスタマー・コンピテンス・センター(CCC)」に分類。両パートナーとも、「2次店を認定し、拡大することを条件に提携した」(関谷副社長)ため、今後、1次店の販売会社でビジネスワンを売る2次店のシステムインテグレータが増えてくる。

 同社によると、ビジネスワンは年間保守サポート料(ライセンス料の17%を予定)や開発費などを含め、10ユーザーの場合の初期投資が約280万円で構築できる。2004年内は、SAP/R3が導入されている大企業の事業所や連結子会社を主なターゲットに、700社以上からの受注を目指す。

 関谷副社長は、「SAP/R3が入っている大企業の連結子会社などに向けた小規模向け製品は、これまで当社になかったため、国産ERPベンダーの製品が充当されていた。その領域の置き換えを狙う。受注目標はSAP/R3が導入されている企業からヒアリングして算出した数字で、ほぼ達成するだろう」と、自信を見せている。

 年内に1次店を20社まで増やし、将来的には30社体制にする計画だ。
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