【ソウル発】昨年12月24日、韓国政府はハイリスク・ハイリターンのベンチャー企業を支援する「ベンチャー活性化支援総合対策」を発表した。韓国の景気回復のため、ベンチャー企業を大々的に支援しようとしている。今回の支援策は「金融・税制支援によるベンチャー創業及び投資活性化」であり、成長可能性のあるベンチャーに投資を促すため、投資する人向けの税制優遇も盛り込んだ。

 今回のベンチャー活性化支援総合対策は、ベンチャーの創業、成長、リストラといった段階別に支援を行う。このために、政府と銀行が1兆ウォン(約1000億円)を超えるベンチャー投資ファンドを創設。失敗したCEOの敗者復活戦や上場基準緩和、税制優遇などが骨子となっている。税制支援としてはコスダックに新規上場する中小・ベンチャー企業の法人税課税を延期し、保有株を処分する場合にも譲渡所得税が免除される少額株主の範囲を拡大させた。

 今回の支援策について、財政経済部長官は「濡れた木に石油を撒いてでも火をつけてみせる。ベンチャーなしでは韓国経済は復活しない。ベンチャー支援にも冒険が必要だ」と、第2のベンチャーバブルを心配するより、景気回復を優先すべきであると強調している。

 ベンチャーは韓国GDP(国内総生産)の3%、総輸出の4%、全体雇用の3%を担っている。特に雇用と業績成長率は大手・中小企業より優秀である。ベンチャー企業の売上増加率は2003年で25.3%と、中小企業の5.4%、大手企業の6.6%を大きく上回っている。ベンチャー企業の売上対比営業マージンと輸出増加率もそれぞれ8.3%と38.6%、大手企業(8.2%、39.2%)と中小企業(4.6%、24.5%)より断然大きい。

 しかし、01年に1万1392社にまで増えたベンチャー企業は02年9106社、03年7702社と減少し続けている。ベンチャーキャピタルの新規投資も00年2兆75億ウォン(約2007億5000万円)から04年1-11月4978億ウォン(約479億円)に激減した。韓国政府は98年のIMF管理体制下よりも厳しいと言われるほど危機に陥った韓国経済の活力を回復させ、成長動力を拡充し雇用を創出するために残された道はベンチャー活性化しかないと見ている。

 ベンチャー業界からは、この活性化策により、バブル景気の到来を懸念する声が上がっている。01年のベンチャーバブル崩壊以降、ベンチャー業界を取り締るため導入された各種規制を大幅緩和し、巨額の予算をつぎ込むだけでは、ベンチャー企業はまた潰れていくという主張もある。ビジネスは失敗しても倫理的に潔白なCEOは敗者復活できるという項目についても、「それを評価するのがベンチャー企業協会である限り、公平さを期待できない。猫に鰹節の番をさせるようなもの」(韓国ベンチャー関係者)との非難も出ている。このため支援策が軌道に乗るのは4月に改定施行される「ベンチャー支援特別法」の後からと予想されている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)