東芝(岡村正社長)のパソコン事業が回復に向かっている。パソコン分野の2004年度(05年3月期)第3四半期の業績は、売上高が2026億円(前年同期比16%増)、営業損益が84億円の黒字(前年同期は142億円の赤字)に転換した。今後は、さらに利益を伸ばしていくため、販売価格の下落が続く企業向けパソコンのコモディティ(日用品)化の脱却を図る。データ保護機能やデータ漏えい防止機能を強化したノートパソコン「ダイナブックSS」シリーズをこのほど発売した。

 今年度通期のパソコン事業は、売上高7700億円(前年度比10%増)、営業損益60億円の黒字(前年度は220億円の赤字)の見通し。上期までは、売上高が3679億円(前年同期比9.6%増)、営業損失が72億円(前年同期は279億円)と赤字が続いていた。オペレーションコストの削減を中心とした抜本的な見直しが進んだことと、コンシューマ市場で昨年12月にAV(音響・映像)機能搭載パソコンの需要が増大したという市場環境から、第3四半期から黒字に転換した。山下文男・PC第一事業部長は、「パソコン事業が軌道に乗った」と自信を示す。

 懸念材料として、山下事業部長は、「法人市場で、とにかく安いパソコンを求めるという傾向は続くだろう」とみており、「今後は、パソコンのコモディティ化を脱却していく」という。第1弾として、データ保護機能やデータ漏えい機能を強化した企業向けのノートパソコン「ダイナブックSS」シリーズを発売した。

 同製品群は、世界初の3D加速度センサーを搭載。上下や左右など、どの角度からの振動も敏感にキャッチしてデータを保護する。データ漏えい防止については、BIOSレベルのログインパスワードなどHDD(ハードディスクドライブ)以外で暗号鍵の管理を可能とした。

「今年4月に個人情報保護法が施行され、セキュリティを切り口としたビジネスがますます盛んになる。機能を絞り込んだ低価格パソコンの販売よりも、顧客が求める機能を追加して提供することが重要」と訴える。

 コンシューマ向けビジネスについては、AV機能を追求した製品の「コスミオ」が好調だという。同製品の具体的な出荷台数は明らかにしていないものの、「国内外問わず、AVニーズがますます広がっていることから、予想以上の台数に達している」としている。