【上海発】先日、中国インターネット検索大手の百度(バイドゥ)が米国ナスダックに上場した後、また業界を驚かすニュースが飛び出した。阿里巴巴(アリババ・ドット・コム)とヤフーの代表が、北京で開いた記者会見で両社の提携を発表したのである。

 現地メディアによると、アリババはウェブポータルやオンラインオークションなど、ヤフーのすべての中国事業を接収。ヤフーブランドを無制限に使用できる権限を得て、移管された事業は従来通りヤフーブランドで行っていくという。また、ヤフーはアリババに現金で10億ドルを出資し、アリババの全株式の40%と議決権の35%を取得する。そして、日本のソフトバンクに代わって、アリババの筆頭外部株主になる。

 アリババは1999年に、元英語教師だった馬雲氏(現CEO)が創立した。中国メーカーと外国バイヤーのB2B(企業間)取引に携わり、「alibaba.com」を運営している。イーベイチャイナを直接の競争相手として、03年には中国消費者向け(C2C)のオークションサイト「Taobao.com(淘宝網)」を開設し、これまで利用料無料で運営してきた。アリババの最大の出資元はソフトバンク。ソフトバンクはまたヤフーの最大の外部株主でもあり、ヤフーとアリババの交渉を巡り、重要な役割を担っているとの噂だ。

 馬氏は、「アリババとヤフーの提携はインターネット企業間の提携の中でもユニークだ。ポータル、電子商取引、検索、通信サービスの統合に成功した例はまだない」と述べた。両社の提携により、中国の電子商取引の情勢は一変し、インターネットオークション大手のイーベイとの競争が激化することも予想される。

 中国ではアリババがヤフーチャイナを買収したとの報道が多く、本当はヤフーがアリババに投資したのでは、と疑問に思った人もいる。そう言った“色”のついた見られ方を避けるため、記者発表ではわざと「買収」の文字を使わずに「提携」と表現したのだ。ではいったい何を原因とし、何を目的に両社はこのような戦略的な提携をするのだろうか。

①長短相補う

 ヤフーは中国で苦戦したあげく、現在でもポータルトップ3になれていない。中文ドメインネームサービスプロバイダ「3721.com」を買収したものの、業務ラインが整備されておらず、突然社長の周鴻 (元3721.com社長)氏の退任がニュースになるといった具合だった。今回の提携を通じて、ヤフーはアリババの電子商取引をヤフーチャイナのコンテンツ、コミュニケーションプラットフォームに統合し、最大限の相乗効果の引き出しを図る。

 500社の中小企業顧客を持つアリババは、中国電子商取引において有力な地位を占めており、最も理想的なパートナーではないだろうか。アリババもヤフーの検索技術、広告収入とその他業務から多くのメリットを受けるはずだ。

 中国ではこのように、発展速度が最も速く、ポテンシャルも最大であるインターネット市場が出来上がりつつある。グローバルブランド+ローカルオペレーションノウハウは力を伸ばしてくるのではないだろうか。

②上場

 百度のナスダックでの好成績を見て、アリババは本来の計画にあった「06年に上場」を変更するかもしれない。ヤフーとの提携により、インターナショナルブランドとしてアピールできるようになり、資本市場で求められている検索ビジネスを実際に手に入れるためだ。中国コンセプトと検索コンセプトを兼ねて、アリババが百度のナスダックでの奇跡を再現することは不可能ではない。IPO(株式公開)がうまくいけば、アリババ、ヤフー、ソフトバンクともに、素晴らしい報酬を手に入れるだろう。

③突破

 周知のごとく、ヤフーチャイナはずっと困難な状態にある。検索業務ではグーグル、百度に及ばない。大金で買収した3721.comの業務については、本来評判が良くなかったうえ、合併もうまくいかなかった。にっちもさっちもいかずに、現状の方向性をいかに描き直そうかと悩んでいるところで、アリババとの提携は新たな突破を求める試みとなる。

④互恵的な結果

 この提携は、双方にとって互恵的な結果をもたらす。アリババが10億ドルの投資を得たことは言うまでもなく、ヤフーもすでに利益を得た。記者会見当日、株価は1.7%上昇したのである。


 中国のインターネット市場は現在絶好調だ。ユーザー数は01年の3400万人から今年6月末には1億300万人に達し、米国に次ぐ2番目の規模となった。05年の中国電子商取引規模は6200億人民元になる見込みだ。アリババとヤフーの提携は、中国市場のポテンシャルの一面を示していると言える。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所担当)