宮城県、福島県、山形県の南東北3県のソフト開発企業などの広域連携を目指して発足した東北ITクラスター・イニシアチブ(TIC、野口正一理事長=東北大学名誉教授)の会員企業がこのほど40社を上回った。関係者によれば、当初は今年5月23日の設立から1年で30社程度の参加を見込んでいたが、参加を希望するシステムインテグレータ(SI)は今後も増加する勢いという。本来、オープンソースソフトウェア(OSS)関連の技術開発をはじめ組込みソフト開発などを通じて、地方SIの下請け依存脱却を図るのが狙いだが、関係者によれば「プロジェクト参加への期待なども出ているようだ」としており、広域連携による生き残りへの意欲が高いという。

南東北の主要地元SI参加

 TICは、特別会員に東北経済産業局や東北総合通信局、宮城県情報サービス産業協会(MISA)、山形県情報産業協会(YIIA)、仙台応用情報学研究振興財団など9団体が参加する産官学連携によるコンソーシアム。賛助会員にはNECソフトウェア東北、NTTデータ東北、ソニーブロードバンドソリューション、東北電力系の東北インフォメーション・システムズ、日本オラクル、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、マイクロソフトなど大手ベンダー7社が参加しており、地元企業30社程度が会員企業となることを見込んで5月23日に発足した。

 設立と同時にOSS関連の開発のために、オープンソースジャパン(角田好志社長)の協力により、TIC内に「東北LAMP(Linux、アパッチ、MySQL、PHP)開発センター」も設けている。

 これまでにTICへの参加を表明した企業は40社を突破した模様だ。半分程度を宮城県内のSIなどが占めており、残り半分は福島県と山形県の企業が2分する構成となっている。

 関係者によれば、TICの設立は、東北3県にあるSIなどの下請け体質脱却を目指すことを使命としており、そのための技術力アップが目的という。このため「TICとしてビジネスを獲得し、内部に作業を割り振るようなことはない」。しかし、参加する地元SIにとっては連携による技術力アップだけではなく、地元で発生する仕事を獲得するための手段と考える企業も少なくないという。

 TICとしての当初の活動期間は3年間を予定しており、地元企業が技術基盤などを確立して受注力の向上を図ることで、2010年に(1)東北南3県の情報サービス産業売上高3000億円(03年実績は1650億円)、(2)新規株式公開企業7社(03年までは0社)、(3)売上高10億円超の企業40社──を目指している。

 また、南東北だけを対象とするのではなく、青森県、秋田県、岩手県の北東北3県を含めた連携に拡大することが必要とする意見や、学生ベンチャーの参加にも門戸を広げることを求める意見なども内部では出ている模様で、今後の体制変更もあり得るという。