【上海発】東方早報(http://www.dfdaily.com/)の報道によると、10月12日に上海市普陀区人民法院(裁判所)は、ネットゲーム用のプライベートサーバー(中国語では「私人服務器」。「私服」と略す)設置による知的財産権侵害訴訟を審理した。これは中国初のプライベートサーバー裁判として注目されており、裁判所は数時間のヒアリングを経て後日判決すると表明した。被告2人の弁護士の話では、もし被告が得た不法利益が50万元以上と認定されると、被告らは3-7年の有期懲役と罰金に直面することになる。この裁判は、中国全土に広がっているプライベートサーバー運営者に打撃を与えるほか、ゲームプレーヤーに対しては、自分の利益を守るためにプライベートサーバーから離れるように注意を促す働きがあると見られる。

 21世紀を迎えるに伴い、中国のネットワークゲーム産業も繁栄期に入った。ネットゲーム運営業者の代表的な存在である「盛大網絡」(http://www.shanda.com.cn/)は、2001年末に韓国のゲーム「伝奇」の運営を開始し、02年には最大同時オンラインユーザーが50万人を突破したと発表した。04年5月14日、盛大網絡はナスダックに上場し、昨年11月22日まで株価は右肩上がりで36ドルとなり、マーケットバリューは25億5000万ドルになった。従来のトップ3ポータルドットコム企業を超え、今や中国最大のネットワーク会社となっている。

 04年度、盛大網絡のネットワークゲームユーザー数は2300万人。うち料金支払いユーザー数は1200万人となり、今年度には総ユーザー数3300万人、料金支払いユーザーは1600万人に達する見込みだ。盛大網絡に次ぐナンバー2のオンラインゲーム運営業者「第九城市」は、昨年12月15日のナスダック上場で盛大網絡の“神話”を再現し、当日、同社の株は23.53%上昇した。

 一方、ネットゲームのブームを見て、権利者に無断でゲームを運営するプライベートサーバーを設置し、安い利用料をユーザーにアピールする不法経営者が後を絶たない。ゲームソフトの著作権者や運営者の権利は大きく侵害されており、ネットゲーム産業の発展が脅かされている。「私服」問題のほか、「チータ」(cheater、中国語では「外掛」)というソフトウェアをインストールすることで、ゲームのルールを破ってプレイし、入手したアイテムなどを高額で転売しているユーザーもいる。

 これらの問題を整理するため、03年12月21日に国家版権局、情報産業省(中国語では「信息産業部」)をはじめとする5省庁は合同で「私服、外掛に対処する特別行動に関するお知らせ」を発表し、これらの行為の不法性を認定したうえで、取り締まり活動を全国で展開し始めた。法律の保護下に置かれたことで、ゲーム産業の育成は今後うまくいくものと思われる。

 冒頭の事件の被告2人はインターネットカフェで働いており、ネットゲーム愛好者だった。月額使用料を支払いたくないという動機で、ユーザーとして「私服」を使い始めた。その後2人は、公式な料金より安い利用料でユーザーにサービスを提供すれば巨大な利潤を得られると考え、元インターネットカフェ経営者に相談してプライベートサーバーを設置。不法なネットゲームビジネス「天下伝奇」(著名なネットゲーム「伝奇3」の贋物)の運営を開始した。

 2人は、プレーヤーの利用料支払い専用の銀行口座を3つ作ってインターネットに公開し、会員制を採用して全国の伝奇3プレーヤーを招いていた。今年5月25日までに会員は2000人、不法所得は50万元余りに上っているという。今年2月、権利者の広州光通通信有限公司上海支社が、3人の運営している「天子伝奇」は「伝奇3」の著作権を侵害しているとして上海公安機関に告発したことをきっかけに、5月に3人は逮捕され、プライベートサーバーが取り締まられたというのがこの事件の経緯だ。

 最終判決はまだ言い渡されていないが、ネットゲーム産業を育成するためにも、厳しい結果が待っていると予想される。ネットゲームのみならず、スタンドアロンゲームを含めたソフトウェアの著作権保護について、同じような強い対応が望まれる。
魏鋒(ウェイ・フェン=ACCS上海事務所担当、shanghai@accsjp.or.jp)