【ソウル発】韓国マイクロソフトは10月28日、「マイクロソフトが米国証券取引委員会に提出した報告書に、韓国公正取引委員会が韓国市場に合わせたウィンドウズ再設計を要求する場合、撤退するか新しいバージョンのウィンドウズの発売を延期するという内容が含まれている 」ことを明らかにした。

 韓国公正取引委員会は4年前からウィンドウズに動画再生プログラムである「メディアプレーヤー」とインターネットチャットプログラムである「メッセンジャー」をセットで売り、市場支配力を乱用した可能性があると調査を進めてきた。その調査結果が発表されようとした矢先に、マイクロソフトの脅迫ともいえる「韓国市場撤退」発言が表面化した。

 韓国マイクロソフトは「米国証券取引法により事業上のすべての危険可能性を報告するようになっているため、このような内容が含まれただけだ。韓国市場からの事業撤収計画は全くない。韓国市場には10億ドル以上も投資、三星電子のような大手企業とは年間1億ドル以上も購入してくれる協力関係がある。今後とも調査には協力するし撤退はあり得ない」と説明し、今回の騒動の鎮火に躍起になっているが、非難の声は当分収まりそうにない。

 市場調査機関のIDCによると、2004年韓国でのパソコン用OSの市場規模は3兆7900億ウォン(約3700億円)。このうちウィンドウズが 98.8%(3兆7500億ウォン)ものシェアを占めている。オフィスも80%のシェアを取っている。マイクロソフトが独占している韓国OS、オフィス市場をそのまま捨て去ることは考えられないが、それにしても今回の発言には問題があったというのが韓国内での反応だ。

 これに先立ちマイクロソフトは、米国司法省と韓国公正取引委員会にウィンドウズにメディアプレーヤーがセットになっているのは公正取引法違反であると提訴したリアルネットワークスと7億6100万ドルで和解した。この後、リアルネットワークスは、マイクロソフトに対する提訴を取り下げたが、韓国公取は審議を続けることを明らかにした。マイクロソフトは韓国ポータルサイトのDAUMともメッセンジャーに関して似たような和解を進めているが、韓国公取委は今回の撤退発言に対して「それはマイクロソフトの自由だが、調査結果には全く影響はない」と発表した。

 市民団体やユーザーはこの際、マイクロソフトに依存しすぎる韓国のOSをLinuxなどのオープンソースに代え、ウィンドウズやエクスプローラーをプラットフォームにした電子政府や政府系のサービスも早くオープンソースに代えるべきだと主張している。マイクロソフトは過去にも「ウィンドウズ98の韓国版のアップデートは、もう行わない」など韓国市場を刺激するような発言を度々、繰り返してきた。

 韓国より先にマイクロソフトの独占に関する審査を行った米国では、同社が「本社をカナダに移す」とする反発で、訴訟より和解を選択した。2004年に欧州連合(EU)がマイクロソフトに対し4億9700万ユーロ(約700億円)の罰金とメディアプレーヤーをウィンドウズとセットにして販売してはならないとしたが、同社はこの命令を取り下げるよう訴訟を起こしている。
趙章恩(チョウ・チャンウン=ITジャーナリスト)