富士ソフトABC(野澤宏会長兼社長)は、ソフト開発の技術力を生かしてソリューションビジネスの拡大に乗り出した。2005年度(06年3月期)に売上高10億円を達成し、08年度まで年率2倍の成長を維持する方針。同ビジネスを軌道に乗せることで、ソフト開発やアウトソーシングなどの売上増にもつなげたい考えだ。

08年度まで年率2倍の成長を維持

 同社が取り組むソリューション分野は、セキュリティをはじめ、映像配信や高速データ検索、組込系テクノロジー、医療、流通、金融など。今年度は、セキュリティ分野で情報漏えい対策ソフトの「エフエスゲート」や、デスクトップパソコン向けのトータルセキュリティシステム「エフエスインフォガード」などを製品化したほか、映像分野でASP型の映像配信サービスや監視カメラシステムなどを提供した。これらのビジネスで「ソフトの受託開発では獲得できなかったユーザー企業を顧客として囲い込むことができた」(野澤会長兼社長)という。

 高速データ検索のサービスでは、他社製品と比べて10-100倍の処理能力を可能としたエンジン「FSSQL」を開発したことで、「販売代理店の開拓に成功した」。最近では、データ管理と高速検索を組み合わせたり、金融機関のATMに不正カード使用を防止するソフトを組み込んだりするシステム案件も提案するようになった。

 主力ビジネスがソフト受託開発であるため、現段階では取引先はメーカーが中心。受託開発は、中国など人件費が安い地域に委託するオフショア開発が活発化しており、「低価格化の要求が厳しくなり、利益を確保できない」状況に陥っている。今年度の中間連結決算では、受託開発を含めたソフトウェア開発関連事業で売上高が536億7400万円(前年同期比15.3%増)に伸びたものの、営業利益は51億8400万円(同15.7%減)に減少。「受託の技術ノウハウを生かし、自社でユーザー企業へのシステム提案が行えるビジネススタイルを構築する必要がある」と判断した。

 ソリューションビジネスで08年度に見込む80億円の売上高は、同社の売上全体の10%に満たないものの、「ソリューション提供を軌道に乗せれば、新規顧客を開拓できることに加え、獲得した顧客からアウトソーシング案件やソフト開発案件の受注につながり、全体の業績を増やす効果も期待できる」とみている。同社では、現在の1.5倍以上となる3000億円の売上高を10年度までに達成する経営目標を掲げている。