仏電気大手のトムソンは今月5日、カノープス(藤原睦朗社長)の株式をTOB(公開買い付け)により100%取得し買収する方針を明らかにした。すでに5日付でカノープスの山田広司取締役会長と親族から、発行済み株式総数の3分の1相当分を同社が譲り受けることで合意している。株式譲渡とTOBに要する総額は約128億円の見込み。カノープスの山田会長と現経営陣は、今後も引き続き同社の事業運営にあたる。

 カノープスは、デジタルビデオ編集機器関連製品で「海外向け販売比率が国内向けを上回っている」(山田取締役会長)が、海外ではコンシューマ向けが中心のため、プロフェッショナル向けの販売体制が課題となっていた。同社の2005年8月末までの12か月間の売上高は約68億円。うち55億円は主力のプロ仕様AV機器と映像編集機器事業によるもので、この主力事業の収益力とシナジー効果によって、トムソンでは買収の翌年度には黒字が見込めるものと判断している。

 カノープスは、トムソンとの事業統合により、トムソンのブランド力やグローバル組織と連携したシナジーによる長期的成長を目指す。今後、カノープスは製品販売、開発は継続するが、「差別化できない製品については見直しを検討する」意向を示している。

 トムソンは現在、傘下のグラスバレーで、デスクトップ・ビデオ編集、ビデオIPソリューション、デジタルメディア変換などの強化を目指しており、今回の買収もその一環。カノープス買収により、企業向けビデオ配信の売り上げを3倍に引き上げることを狙う。また、従来同社が手がけていなかった10億ユーロを超える市場を開拓できるとしている。

 日本市場では、カノープスの販売チャネルを利用してコンシューマ製品を投入するほか、カノープス製品の世界市場拡大など両社のインフラを活用したシナジーを図っていく方針。

 トムソンによるカノープス買収は、トムソン日本法人トムソン・ジャパン・アクイジションを通じて、カノープスの山田取締役会長とその親族から発行済株式総数の約3分の1を取得。来年1月16日までにTOBにより77.87%以上を取得する。最終的にはカノープスの株式を100%取得し買収を完了する予定。それにともないカノープスは東京証券取引所での上場を廃止する。