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シャープドキュメントシステム 多彩なセキュリティ機能付加でカラー複合機を拡販 独自機能を駆使して製品の差別化図る

2006/02/20 12:54

週刊BCN 2006年02月20日vol.1126掲載

 シャープの子会社でOA機器販売などを手がけるシャープドキュメントシステム(川森基次社長)は、情報漏えい防止機能などを搭載した新デジタルカラー複合機の販売を拡大する。データ暗号化・データ消去や不正アクセス防止、親展プリントなど、セキュリティ関連のソリューション例をパートナーや企業に提案し、競合他社と差別化を狙う。また、アプリケーションの開発環境を提供して、簡単にデジタルカラー複合機のカスタマイズができるようにする。シャープのデジタル複合機は、競合他社に比べ後発。同市場でのシェアは数%で推移しているが、来年度(2007年3月期)は同10%以上を目指す。

 シャープは昨年11月から、デジタルカラー複合機の新製品12モデル(カラー印刷速度・23-35枚/分)を順次発売。「データセキュリティキット」を搭載して、ハードディスク内の電子データを暗号化して保存したり、コピーやプリント出力時などにデータを自動消去する。このほかにも、スキャンしたデータを「暗号化PDFファイル」に作成できるなど、独自の技術を多数備えている。

 シャープドキュメントシステムでは、この新製品を活用したセキュリティ・ソリューション例を拡充している。例えば、文書管理関連では、複合機内のデータを暗号化・自動消去する情報漏えい防止対策やインターネットを通じた複合機への不正アクセス防止、出力履歴を記録する「プリントJOB履歴管理」などを提示。「ブロードバンド環境で、OA機器が再整備されることを見越したソリューション例を示すことによって、カラーデジタル複合機の導入を促すことができる」(川森社長)という。

 同社のデジタル複合機を販売するパートナーは現在、事務機ディーラーやSIerなど約600社。新製品の発売に伴い、パートナーにソリューション提案のノウハウを習得させる人材育成プログラムを強化している。

 さらに、企業ニーズに応じてデジタル複合機をカスタマイズできるように、ソフトウェア開発者などに対し、アプリケーション開発環境の提供を開始した。シャープ独自のネットワーク標準技術「Sharp OSA」を利用することで、外部からデジタル複合機の機能を制御できるため、パートナー側でアプリケーションソフトを開発できるほか、ファイルサーバーなどと連動したシステム構築が容易になるという。

 川森社長は「デジタル複合機は今後、OA機器から他のシステムと連携したIT機器への移行が進む。そのため、当社の機器を利用してソリューション展開できるパートナーを多数育てる必要がある」と、従来の単機能モノクロ機からデジタルカラー複合機への移行を提案できるようにする。

 シャープドキュメントシステムは詳細な売上高を公表していないが、03年度(04年3月期)に1000億円を超え、毎年、増収増益を計上しているという。来年度は新製品の成長が見込めるとして、売上高で2ケタの伸びを期待する。
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